じゃこらんたん宙を舞う
「大変です! ご覧ください! 大量のじゃこらんたんが空中を飛び交っています!」
ヘリから中継するレポーターの声が異常に甲高い。しかも、ゴンだのドンだの、ヘリにじゃこらんたんがぶつかる震動音がする。しかし墜落する気配はない。なぜだろう、ヘリの回ってるあのへんだけ当たらないのだろうか?
自宅のテレビでそれを見ていた人たちは、何が起きているかよく理解していなかった。
「何これ」
「合成じゃない?」
「ハロウィンのドッキリ映像?」
「ママ、ドッキリって何?」
「えっ?知らないの?」
「皆様! これは本当にマジ、いや真剣な中継で(ゴン)あっ! また頭上からじゃこらんたんがぶつかる音がしました! 怖いです! これは怖すぎます!我々は無事に帰れるのでしょうか!? なぜ? なぜ運転してる人は余裕で半笑いなのでしょうか? プロペラはなぜ無事なので(ゴン)イヤァァァ」
「やっぱりCGじゃない?」
「この人演技すごくね?」
「パイロットさあ、絶対こいつがおかしくて笑うのこらえてるよね」
「笑い過ぎで墜落したら笑えなくね?」
「あっ! 今! 今巨大なじゃこらんたんが目の前を凄まじいスピードで横切っていきました! 危ない! あれは危ないです(ゴン)このヘリ本当に大丈夫なんですか!? えっ? 原因? はっ、そうでした。原因は不明(目の前をまた巨大なじゃこらんたんが横切る)ヒィー! これはなんでしょうか!? 異常気象? 自然界から人類への警告でしょうか!? それとも(ハイスピードで小さなカボチャが飛び交っている中に突っ込む)うわあああ! これは猛攻撃です! 凄まじい勢いでカボチャが激突して割れて落ちていきます! なぜ我々はここまでカボチャに恨まれているのか!? なぜプロペラは普通に回っているのか!?」
「あれさ、農家から苦情来ない?」
「そもそもなんで空飛んでんの?」
「あの中にヘリで突っ込んでくのバカじゃない?」
「あ、そのマカロン一個もらっていい?」
「サイドの窓がカボチャまみれで外が見えません(ゴンゴンゴン)まだ来るの!? いや、まだ止まりません。いくらハロウィンでもこれはひどい! なぜこんな怪奇現象が(ゴン)ほんとにこのヘリ大丈夫なんですか!? パイロットが爆笑してます! 大爆笑です! 怖い! 怖いです(ゴン)嫌です! 僕、じゃこらんたんに殺されて墜落死はイヤァァ!!」
「殺されてさらに墜落死すんの?」
「あれ?この人マジでパニクってない?」
(ゴン)
「え? 何今の?」
(ゴンゴンゴンゴンゴンゴン)
「やだ! ほんとにカボチャが降ってる!!」
「カボチャじゃないよこれ! 顔ある!」
「じゃこらんたん降ってる!!」
(ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン)
一同「イヤァァァァァァァァ!!」
[教訓]
自分の身に起こらないと、
その出来事の怖さはわからない。
*この作品は2020年のハロウィンのために書かれたものです。




