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水島素良短編集  作者: 水島素良


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3/11

じゃこらんたん宙を舞う

「大変です! ご覧ください! 大量のじゃこらんたんが空中を飛び交っています!」

 ヘリから中継するレポーターの声が異常に甲高い。しかも、ゴンだのドンだの、ヘリにじゃこらんたんがぶつかる震動音がする。しかし墜落する気配はない。なぜだろう、ヘリの回ってるあのへんだけ当たらないのだろうか?


 自宅のテレビでそれを見ていた人たちは、何が起きているかよく理解していなかった。


「何これ」

「合成じゃない?」

「ハロウィンのドッキリ映像?」

「ママ、ドッキリって何?」

「えっ?知らないの?」




「皆様! これは本当にマジ、いや真剣な中継で(ゴン)あっ! また頭上からじゃこらんたんがぶつかる音がしました! 怖いです! これは怖すぎます!我々は無事に帰れるのでしょうか!? なぜ? なぜ運転してる人は余裕で半笑いなのでしょうか? プロペラはなぜ無事なので(ゴン)イヤァァァ」




「やっぱりCGじゃない?」

「この人演技すごくね?」

「パイロットさあ、絶対こいつがおかしくて笑うのこらえてるよね」

「笑い過ぎで墜落したら笑えなくね?」






「あっ! 今! 今巨大なじゃこらんたんが目の前を凄まじいスピードで横切っていきました! 危ない! あれは危ないです(ゴン)このヘリ本当に大丈夫なんですか!? えっ? 原因? はっ、そうでした。原因は不明(目の前をまた巨大なじゃこらんたんが横切る)ヒィー! これはなんでしょうか!? 異常気象? 自然界から人類への警告でしょうか!? それとも(ハイスピードで小さなカボチャが飛び交っている中に突っ込む)うわあああ! これは猛攻撃です! 凄まじい勢いでカボチャが激突して割れて落ちていきます! なぜ我々はここまでカボチャに恨まれているのか!? なぜプロペラは普通に回っているのか!?」




「あれさ、農家から苦情来ない?」

「そもそもなんで空飛んでんの?」

「あの中にヘリで突っ込んでくのバカじゃない?」

「あ、そのマカロン一個もらっていい?」





「サイドの窓がカボチャまみれで外が見えません(ゴンゴンゴン)まだ来るの!? いや、まだ止まりません。いくらハロウィンでもこれはひどい! なぜこんな怪奇現象が(ゴン)ほんとにこのヘリ大丈夫なんですか!? パイロットが爆笑してます! 大爆笑です! 怖い! 怖いです(ゴン)嫌です! 僕、じゃこらんたんに殺されて墜落死はイヤァァ!!」




「殺されてさらに墜落死すんの?」

「あれ?この人マジでパニクってない?」

(ゴン)

「え? 何今の?」

(ゴンゴンゴンゴンゴンゴン)

「やだ! ほんとにカボチャが降ってる!!」

「カボチャじゃないよこれ! 顔ある!」

「じゃこらんたん降ってる!!」

(ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン)




 一同「イヤァァァァァァァァ!!」














[教訓]

自分の身に起こらないと、

その出来事の怖さはわからない。




*この作品は2020年のハロウィンのために書かれたものです。


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