【首都レイドリック】
ここはストゥートの首都レイドリックにある国の権力者たちの巨大な城だ。
マラカナは母であるサラと弟のギアスに城の一室まで呼び出されていた。
「今回のメラクニル村でのモンスターの一件、原因究明はできているのですか?」
国の政治家でトップの方まで登りつめているサラはマラカナに尋ねる。
金髪で透き通った肌に青い目…その姿は年齢を重ねても相変わらず妖艶で美しい。マラカナは自分に似ていないこの母をあまり好きではなかった。
「行なっている人物も、原因も、まだです。今回の事件の目的はおそらく人類への警告だと判断しています」
マラカナは答えた。
「つまり、何も分かっていないということですね。はぁどうしましょう。こんな時はソルトウェルトに相談したいわ」
「将軍に相談しても何も分からないですよ? 何しろ病院に点滴で繋がれて動けないでいますからね」
マラカナは淡々と諭す。
この女……自分に夫がいるにも関わらず、将軍に好意を抱いているのが見え見えだ。
マラカナはそういうこの女のズルい所が好きじゃない。自分の母だが尊敬できない理由の1つだと思っている。
「母上が将軍にすがる気持ちは分かりますが、私たちも少しは頼りにしていただきたい」
ギアスはそう言って、母に笑いかけた。
この男は、母にしか本気で笑わない。
「分かっています。ギアス、マラカナ……あなたたちはとても信頼していますよ。国は対処できない事態にとても焦っています。どうか早く解決の糸口を見つけてほしい」
自分のことは信用しなくても別に構わないのだけど……と、マラカナは思ったが黙っていた。この母にしか興味のないマザコン男と一緒にされては心外だ。
リヴァル家ってホントに腐ってるやつらばかりで辟易する。マラカナは自分の身内が1番気持ち悪い。
「国は……リヴァル家は一体何を恐れているんですか?」
マラカナはサラに尋ねた。
「人類を恨んでいるだろう第4兵器の報復です。きっと彼はどこかで生きていて、いつか仕返しにきます。今回の事件も……もしかしたら」
「考えすぎですよ。将軍もおっしゃっていたでしょう? 彼は跡形もなく確実に亡くなっていたと」
マラカナはそう言って、優しそうに寄り添うフリをした。
「たとえ何があっても、私が母上だけは確実にお守りしますから……」
ギアスはマラカナに負けじと口を挟んだ。
この男は単に自分の評価を上げたいだけだ。
お前はもう黙れよ……とマラカナは心の中で笑っていたが、この弟は母のことになると誰にでも目の色を変えて襲ってくるからタチが悪い。
お陰でアプも弟を見放したし、面倒だからあまり関わりたくない。勝手にどっかで茶番でもしててくれと思っている。
「2人とも、今は心配ばかりだと思いますが、バモールでも頑張って薬の予防と特効薬の開発を進めてくれています。今は信じて待ちましょう」
マラカナはさらっとそれらしく、聖人君子らしいことを言ってみる。
母の反応を見てみよう……と。
「ええ、そうね。信じなくてはダメね。マラカナはこれから研究所に様子を見に行くのね? どうか早く特効薬が完成しますように。あなたはもういいわ。お疲れ様」
サラはそう言って、マラカナに下がるように命令した。
どうやら思った通りの方向へ誘導できたようだ。
(この人本質は悪くないんだけど、なんていうか単純で弱すぎなんだよな……)
そしてその単純な所だけはギアスも似たようだ。
「研究の進み具合を視察してきますね。失礼します」
そう言ってマラカナは部屋を出て行った。




