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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第12章 リンとレミナの大冒険⁈
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【ワイズとカヲル】

「どうした? ワイズ」


 ワイズが通信機を切ったのを見て、カヲルは話しかけた。

 ここは北限に近いレンバースの街で、2人は隠された研究所バモールを捜索中だ。


「今グレースから。教授の任務がわりと早く終わったから、2人でこっちに来るって。今学院みたい」


「あ、そうなのか。まぁ俺たちもちょっと詰んでるから丁度いいか」



 今は夕方の5時だ。

 探せど探せどバモールどころか道筋のヒントである星の家すらも見つかっていなかった。


「まったく、自分が情けないわね。結局、全然目的を果たせてないのだから。お店のウェイターさんも何のことか知らなかったし……」


「うーん、でも俺はこれだけ探し回った価値はあると思ってるよ?」


 カヲルは余裕がありそうな表情で笑っている。


「そうなの?」


「うん。何時間も探して、なんとなくコレじゃないかなぁって思ってるのがある」


 ワイズは期待の目でカヲルを見た。

 気づいたことがあれば何でもいいから、今はとりあえずヒントが欲しかった。


「星の形も星のマークの家もこの街には無いけど、ワイズさっきのご飯食べた店の名前覚えてる?」


「えっ、たしか、レストラン・シュテルン?」


 ワイズは答えた。

 ちょっと変わった名前だったから、耳に残っていた。


「そう。そこの服屋はステッラ。そしてこれで分かるかな? 向こうの方にあった劇場の名前は……」


「エトワール……」


 ワイズは記憶を頼りに呟いた。

 これだけ何時間も街を回ってれば、店舗や看板など嫌でも目に入る。

 しかも全て女性が好きそうなチョイスばかりだ。


「そ。シュテルン、ステッラ、エトワールは全て星をさしてる単語だって天体観測の授業で習った気がする。しかも3つの店舗とも学生のIDカードさえ見せれば無料って入口に書いてあった。つまり管理してるのは学院。すなわち国だろ?」


「辿る星は店の名前なのね! カヲル、単語の意味をよく覚えてたわね」


 ワイズは意外そうに言った。


「星見る授業は結構好きでね〜こっそり寮で夜空を見るのがリンも知らない密かな俺の趣味。まぁ部屋には小さい望遠鏡しかないけどな」


 ワイズは目を丸くした。

 仲間の知らない面を垣間見たような気がした。


「カヲルに星を見る趣味があるとは思わなかったわ」


「ははは。実は学院でもリリフと一緒に夜空を見に行ってたんだ。星がよく見える講堂が1つだけあってね。そこにある天体科の教授の望遠鏡はすごいハッキリ見えるんだ。門限は8時だったから、それまでには彼女を寮まで送ってたんだけど、ついつい楽しくていつもギリギリに」


 リンにはいつまでも帰ってこない自分は夜遊びしているように見えてただろうなとカヲルは話す。


「リリフちゃんも星を見る趣味が?」


「うん。結構好きみたいだよ」


「そう。趣味が合うのね。良いことだわ。と、それで星の店の名前は分かったけど、それをどうやって辿れば良いのかしら」


 ワイズは首を傾ける。

 順番とか、他にも星の名前の店があるかもしれない。


「たぶん入口から近い方から辿ると、エトワールの劇場が目的地ぽい。でも、もう遅いし明日にするか? グレースとカトレアもバイクですっ飛ばせば3時間もかからずに来そうだし」



「そうね。じゃあ……」


「ん?」



「そこの服屋に入りたいわ。レンバースの街の流行に興味があるの」



 さすがいつも服に気を抜かないワイズだ。こんな遠い街の服にもチェックを怠らない。


「カヲルも一緒に来る? もし良かったら、アドバイスしてあげるわよ?」



 昨日から元気がなかったワイズだが、いつもの彼女に戻ってきたなとカヲルは思った。


「ほ〜い。荷物持ちしましょう」


 カヲルはそう言って、ワイズの後ろに続き店に入っていった。

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