【また来よう】
「……というわけで管理所の人から情報が周り、マラカナにすぐにいっただけのようでした。購入物もある意味ヤバイですが、危険なものでもないです。行きすぎた趣味ではあると思いますが、まぁそこは個人の自由かと」
グレースはとーまの言っていたことをコロアにスキャナーで告げた。
『なるほど。まぁ徒労だったが、何かの策略とかでもなくて良かった。さて、お前らはどうしようか? すぐ学院に戻るか? それともそっちで1回泊まってから戻ってくるか?』
コロアはとりあえず安心したと。
その上で好きにして良いと伝えた。
「俺はこのままレンバースまで行って、カヲルたちと合流しようかと思ってるんですが、まだカトレアには相談してません」
『そうか。ワイズからさっき連絡あったんだが、どうも苦戦してるようだ。施設どころか何か……星? とかも見つからんそうだ』
「星?」
施設と星が何の関係があるのか? 謎である。
『暗号で辿ると施設が見つかるとかなんとか……子供の頃聞いた唄とからしい。バモールは関係者しか分からないようになってるからな』
「苦戦してるなら、やっぱり俺たちは合流した方が良さそうですね」
『そうだな。そうしてくれるとありがたい。あ、そうそう。さっきアパレルから連絡があって、無事島に着いてユナと会えたそうだ。一応順調なようだな』
グレースは1番心配だった方のメンバーの良い知らせに安堵した。
「それは良かったです。結構心配してましたから」
『明日からがもっと心配だがな』
コロアは笑って呟いた。
「明日から?」
『リンとレミナの大冒険だそうだ』
グレースは一瞬、顔が引きつる。
「……許可したんですか?」
『アパレルの両親を探すらしい』
コロアはあえて質問に答えてくれない。
「許可したんですか⁈‼︎」
グレースは同じ言葉を今度は強めに繰り返した。
『ちょっと面白いことが起きると思わないか?』
グレースは背筋に悪寒が走った。
あの生徒にこの教授あり……である。
「そこは教授が止めないと! あの2人が世界の旅とかゾッとしかしませんが⁈‼︎」
『悪い。自分の面白そうな気待ちを優先してしまった……お前、今からそっちに行くか?』
グレースははぁと、ため息が出た。
最近ため息ばかりついている気がしてならない。
「ワイズたちと合流、研究所を見つけてカヲルの親御さんに話ができたら、すぐに船に乗って2人を追いかけます」
『そうしてくれるとありがたいなぁ。いやぁさすがグレース君だ』
これはもう自分が動かないとダメだろうとグレースは諦めた。
「しかし、こんなに俺たち学生が勝手に行動してて教授は大丈夫なんですか?」
教授はペナルティとか受けたりとかしないのだろうかと。
『問題ない。国や軍のやつらも学院の引きこもり体制を変えろと言ってきてるみたいだし、学院長には一応許可を取ってある。ジジイの髪の毛ぐらい無くなっても気にするこたぁない』
「髪の毛?」
『こちらの話だ。まぁお前たちは気にせず行っといで? 何かあってもなくても連絡はしてな〜?』
そう言って、コロアは通信を切った。
(学院の体制も変わろうとしているのか。これはちょっとこれからが楽しみだな。そのためにも人のモンスター化は絶対に止めないとな)
グレースが学院の生徒でいる期間はあと2年……この2年間はきっと忘れられない思い出になりそうだなとふと思った。
カランコロン……
後ろでとーまの店のドアが開く音が鳴る。
「グレちゃん……」
自分を呼ぶ声の方に振り返る。
「あれ? カトレアどうした?」
「お待たせ、できたよ! 猫ちゃんの着ぐるみ! 今、とーまに渡して着替えてもらってるから」
「おお、おつかれ! どんなのか楽しみだな。そういや、とーまは『とーま』のままなんだ笑?」
今までのよりはずっと良い着ぐるみだろうと確信しているけども。
「とーまが『とーま』はもうすでにあだ名って言ってたから……」
なるほど……本名は別にあるのかとグレースは納得した。
「猫ちゃん気に入ってくれたみたい! それで、これからどうするんだっけ? 町を回るの?」
「いや、それはもう解決した。これからカヲルたちと合流しようと思って……レンバースを目指すつもり。今はもう2時だから今夜には着けるかな。後でワイズに連絡する」
「そうなのね。分かった。じゃあ、とーまに挨拶してもう行くのね」
カトレアは少し寂しそうな顔をする。
「うん。いつかまた来よう。今度はみんなと」
「うん! とりあえずチョコ買って、また来よう!」
グレースとカトレアは店内に戻っていった。




