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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第12章 リンとレミナの大冒険⁈
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【ユナ、急にどうした?】

「リン。今、なんて言った?」


 お墓に挨拶をした俺に驚いた顔をしてユナが駆け寄ってきた。


「えっ? じゃあね、とーまって……」


 俺は自分の言った言葉を繰り返す。



「とーま?」


「?」


 ユナは急に俺に詰め寄る。



「なんで略した? どこかで聞いた?」



 ユナがかなり真剣な顔で、何度も同じことを俺に尋ねた。


 俺は覚えていない。

 なんとなくそう呼びたくなったとだけ告げた。



「リンは2歳でリサの家に来てる。第2兵器のことは覚えてないはずだよね?」


「たぶん」


 ユナの目が怖い。

 どこを見ているのか……いや自分を見ているんだけど、俺は遠い昔の記憶を無理矢理探られているような……そんな感じだ。



「1年くらいは一緒に過ごしていた。誰かがThomasのことをとーまって呼んでた?」



「ごめん、分からない」


 俺はそれ以上の言葉が出なかった。



「もし、研究所にいた時の記憶が少しでもリンに残っていたとしたら、ウィルたちのThomasがとーまなら第4兵器(第2兵器)は死んでなかった可能性も? しかしあの状況で?いや確率はほぼないに等しいけど、レミナを超えた回復力ならもしかして……」


 ユナは俺から離れ、一人で呟き出した。

 俺は黙って様子を伺っている。



「そもそもロットでの現場で起きた惨状の事実は今生きている人間は誰も知らないんだ……何が起きたのか……そこが分からないことには……」


 それきりユナは頭を抱え黙ってしまい、1人で長考していた。



 しばしの……沈黙が続く。 


 反対に俺はユナの勢いに押され、彼が興奮して悩んでいる意味はわからないままだ。


(どうして、呼び名がそんなに重要? そもそもとーまって誰だっけか)


俺もユナの真似して、頭の中で考える。



「っあ! もしかして、とーまの道具屋のとーまのことを言ってる? 俺は一度も行ったことないけど、さすがに偶然じゃないの?」


 俺は先程から黙ったままのユナに声を掛けた。自分の言った一言でなんだか大きなことになってきてしまっているなと感じながら。


「あ、リン……ごめん。僕1人で考え込んじゃってた。はぁ、どうして僕はいつもこうなんだろう。こうやって1人で頭の中で暴走しちゃうから、きっと友達が少ないんだな。っと、そうそう道具屋のとーまね。とーまは女好きの変な被り物のやつだけど、自分らしくひっそりと生きてた。確かに勝手な憶測だけで決めつけは危険だね。リン、このことはちょっと……」


「うん。みんなには黙っておくよ」


 俺はユナの言いたいことを組んで答えた。

 彼はありがとうと話す。


「さっき肩を強く掴んで、ホントごめん。とりあえず家に戻ろう」


 辺りはだいぶ暗くなってきている。俺たちは広場から出て坂道を早足で下った。


 降りるだけはやっぱり楽である。あっという間にユナの家まで着いた。


 家の中に入るとリリフとアプがリビングで座って話をしている。

 レミナは……お風呂か?


「ユナ、そういえば俺こないだもらったじーぴーえすみたいな子供の頃に拾ったやつ持ってきてたんだ。ユナの機械で何か使えるのかと思って」


「じーぴーえす?」


「これこれ!」


 俺はカバンを漁ってガラクタを10個ほど出した。


「あ、これじーぴーえすじゃないけど……水晶だね」


「そうなの?」


「うん。じーぴーえすって別に石のことじゃないから。中に小さくした受信機を水晶の中に加工して入れてあるだけで……今はレミナが持ってるかな? そもそもあれは僕が作ったんじゃないんだよ。」


「え、じゃあ誰が?」


「島の天才科学者」


「島の人?」


 ユナは頷いた。


「うん。過去の偉人の子孫って言ってた。偏屈で変わってるけど、色々作ってくれる。本人は『偉大なるエップス博士』って名乗ってるね」


「えーそうなの⁈ 俺はてっきりユナが作ってるのかと……」


 俺はえらい勘違いをしていたようだ。

 確かに生物と機械は……だいぶ違う気がする。


「いやーさすがに僕は専門外だから無理だよ。ここの通信機もレミナの武器も。もしかしてレミナ僕が作ってるって言ってるの?」


「うん。そう言ってたよ?」


 ユナはまじか……と手で頭を掻いた。


「エップス博士の元に行って欲しいものをお願いすると、必要な材料を教えてくれる。それを自分で用意して持ってくと色々と作ってくれるんだ。僕が材料を用意してるから、レミナは僕が作ってるって勘違いしてたのかな。いや、あの子はなんでも曲解するからな……」


 ユナは深くため息をついた。



「なんかゲームのクエストみたい……」


 俺はユナの説明に思わず漏らす。



「ん? なんか言った?」


「いや、なんでも。材料は自分で用意しないといけないんだね」


「うん。博士はもう爺ちゃんだからね。素材集めとかは厳しいんだ。もし欲しいものがあったら明日出るときに寄ってみたらどうだい? ここから山を下って街に行く手前の右の道を10分ほど行くと博士の家に着くよ? この水晶とかも持っていってみるといい」


「うん、そうする! ありがとう!」


 俺は出したガラクタをまた鞄にしまった。



「ホント偏屈で変わってるけどね。『自分は偉大なる発明家Edisonの子孫エップス博士である』ってのが口癖の爺ちゃんだから、会ったらすぐ分かるよ」


「うん。了解! エジソンね。よく知らない人だけど」


 発明という言葉を聞くとなぜかワクワクしてくる。これぞ男子脳というやつか。


 俺は明日、博士の爺ちゃんの元へ行くのがとても楽しみになった。

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