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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第12章 リンとレミナの大冒険⁈
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【リンとユナ】


俺たちはレミナに従い、キッチンとダイニングを抜けたすぐ横のリビングに案内された。



「レミナ、ちゃんとユナに連絡しなきゃ……」


 俺は木製の長椅子に座りつつ、レミナを諭す。


「忘れてたのだ。こーぼーふでのあやまりってやつだ」


「なにそれ? また諺?」


 アプは笑って聞いた。


「そうそう! 偉い人でもたまにミスするってやつだ」


 レミナはえへん! と胸を張っている。


「猿のやつも同じような意味じゃなかった? レミナ、ミスのやつ多くね?」


「むぅ。そんなことは断じてないぞ!」


 レミナは否定する。


「タケルさんに色々と教えてもらったんだね。言葉遣いとかも」


「おぉ! その通りだ。タケルは私の言葉の師匠なのだ」


 アプの言葉にレミナは嬉しそうに語った。




「レミナ昔はこんな話し方じゃなくて、もうちょっと可愛かったんだけどね。島に来たらなんでかタケルの言葉を習得しちゃったんだよなぁ……まぁみんな改めていらっしゃい。ホントこんな僻地まで。今お茶入れるね」


 リビングの後ろの部屋から出てきたユナはそう言ってキッチンの方へと向かった。



 しばらくして、暖かいお茶が出てきた。


「みんな、ご飯は?」


「あ、忘れてた」


 今はもう昼の1時をとっくに回っている。


「材料あれば、私たちが作るわよ?」


 リリフはイスから立ち上がりユナに尋ねる。アプも任せてと言っていた。


「あっ、うん。昨日帰ってきた時に買い出ししたから色々とあると思う。お願いしてもいいかな。ついでにレミナも手伝ってて。僕はその間にちょっとリンと話したい」


「わかったわ。ユナ……兄さんよね? 私も後で話すこといっぱいあるから」


「あ、私も研究のことで相談があります。でも、こっちは最後でいいわ」


 ユナはわかったと告げて、俺にリビングの窓からテラスへ出るよう促した。俺は立ち上がり、指示通りに外へ向かう。


 ユナの家のテラスから見える島の景観は絶景だった。島と町と海がぐるっと遠くまで見渡せる。

 気候も暖かく……でも海風が気持ちいい。

 ちょっとリゾートや別荘に遊びに来たような…そんな気分だ。


「ここ綺麗だね。すごい景色」


 俺は思わず感想を述べた。

 ユナも海の方を見ながら笑っている。




「……リン」



 ぼけ〜としばらく景色を眺めていると、頃合いをみてユナは声をかけた。



「ん?」





「ごめん」



「えっ……」



 ユナは遠くを見つめたまま……突然謝った。


 俺は彼の顔を横から見たが、真顔だ。

 表情からは感情が読めない。


 とりあえず次の言葉を待つ。


「僕は何もかも知っていて黙ってた。リンが兵器なこと、叔父のクローンだということ、偽物の家族のこと。ずっと学院にいる間も僕は叔父からリンを監視するよう命じられていた。友達のふりして黙って見張ってたんだ。最低だよな」


「ユナ……」


 ユナの失踪から2年。

 今の彼は背もぐっと高くなっていて、2年前の姿よりもずっと成長している。


 だいぶ、青年に近づいていた。


(ユナももう18歳か……グリル村で会った時は気づかなかったけど、ホントに背が伸びた)


 子ども時代……

 彼は寮の廊下で会うと、体調や嫌なことはないか? などよく俺に話しかけてくれていた。俺とカヲルの部屋まで、度々様子を確認しに来ることもあった。


 そんな彼に俺はてっきり自分のことが好きなんだと思い、友達面して付きまとっていた記憶がある。


 いつも図書室やテラスで本を静かに読んで過ごしていたユナ。


 話しかけるとそういえば彼は面倒くさそうに俺の相手をしていたなと今になって思う。


 随分と遠い昔の記憶だ。



「僕は、リンたちといた5年間が1番幸せだった。お陰で救われたんだ。許してもらえなくてもそれだけは分かって欲しい」


 ユナはそう言って黙った。

 しばしの間……沈黙が流れる。



 俺は彼に何から伝えようか考えている。



「頭使うの苦手だから、難しいことは分からないけど。ユナは何も悪くないと思う」


「いや……」


「ねぇ、ユナ。俺たちは子供だったんだよ。みんな周りの環境に翻弄されながら必至に生きてきただけだ。ユナは何も悪くない。あの当時、国の研究者たちが、命を蔑ろにした実験を繰り返していた。そして当事者である父さんは、自分の都合の良いようにユナを利用したんだ。それは母さんも同じ……弱味に付け入られて利用されたんだよ」


 俺は自分の思ってることを全部ユナにぶつけた。ユナだってきっと嫌な思いをいっぱいしただろう。


 最近まで全く知らずに呑気に過ごしていた自分が恥ずかしいと告げた。

 彼は眉を寄せて、悲痛な面持ちをしている。


(子供だったら泣けるんだけどね)



「レミナと黙って逃げたことは……」


「レミナを助けてくれて良かった。あんな良い子がさらに酷い目に合うとこだった。ユナの行動は正解だと思う。俺でもその状況ならレミナと絶対逃げる。だって生きてるのに……楽しいことも何一つなく苦痛だらけで終わるなんて、そんなこと考えるだけで嫌だ」


 俺は実験されていたロットの子供たちのことを思うと胸が締め付けられる。彼女が解放されたのがせめてもの救いだ。


「リン、成長したな。2年前とは想像もつかない」


 ユナはこちらへ向いて、静かに笑った。


「色々あったからね。でも、仲間や友達、家族もいる。こうしてまたユナと会えた。俺は幸せだと思う。そしてこの大事な人達のいる世界を全力で守りたい。そのためにみんな動いてくれている。とりあえず俺は明日レミナとアプの両親を探しに行こうと思うんだ」


「わかった。僕もアパレルって子の両親を探して欲しかったからとても助かる。まぁでも、その子自身がここまで来るとは思ってなかったけど」


 彼は苦笑いだ。


「モンスター化の特効薬を完成させたいって言ってたよ。詳しいことは後でアプに」


「なるほど。願ったりだ。僕も一人で手に余ってたとこなんだ。2人で情報を合わせればなんとかなるかもしれない」


「リリフも置いてく。まぁ料理とか家事とかさせながら一緒にいさせてほしい。ユナに話したいことがあるみたいだからさ」


 俺はそう言って、窓の外から料理中の彼女を見た。アプとレミナと楽しそうに何かを作っている。


「もちろん、彼女の言いたいこと、これからのこと僕は受け入れる。腹割って話すよ。許してもらえるか分からないけど、紛れも無い実の妹だからね」


 俺はリリフはああ見えて結構凶暴だから気をつけてねと伝えた。ここに来るときにグーパンされたことも一緒に。


 ユナはまじか……と一瞬固まったが、俺たちは部屋の中へ戻った。



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