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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第11章 ユナの元へ
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【ご機嫌ななめですね】

 ピストシア帝国の名もなき漁村から少し北西に船を進めて行くと、霧が濃く視界のあまり良くない中に隠れたように小さな島があった。漁師のタケルの話によると、ここは200人ほどが住む小さな有人島だという。


 ここの島に住んでる人はもう何百年も前から島で暮らしている。


 3年前、タケルが初めて一人で漁に出た時、急に現れた深い霧により進路を失い遭難した。そして船が流され……たまたま着いた場所がこの島だったというのだ。


 島の人たちは船の修理を手伝い、タケルに霧をうまく抜ける道を教えてくれた。その恩返しに彼は漁で取れた魚をいつも島に届けているという。


 2年前、ユナとレミナが港に着いてすぐ、買い出しに来ていたタケルが2人に声をかけた。

彼は幼い頃から自分の父の仕事場に連れられ、父さんの家で何度かユナを見ていて覚えていたらしい。


 事情を知ったタケルはすぐに、島へ2人を連れて行ってくれた。


 島の人も最初は警戒していたが、タケルの頼みもあってユナとレミナを受け入れた。そのまま月日が経ち……今に至るというのだ。


「ありがとう! タケル。いつも送ってくれて助かるぞ!」


 島に着いて、みんなは船から降りた。

 レミナの言葉に続き、俺たちもお礼を言う。


「気にするな! 同胞のよしみだ! 私は大体毎朝ここに魚を届けに来ている。もし大陸に戻りたかったら声をかけてくれ!」


「タケルはもう帰るのか?」


 レミナは聞いた。


「いや、今はちょうど昼過ぎだからな。島の定食屋でご飯食べて…新しい名前をみんなに教えてから夕方帰るつもりだ。また明日の朝に来るからな」


 そう言ってタケルは島の町の方へ歩いて行った。




「レミナ、ユナ君はどこにいるの?」


 アプは尋ねた。


「島の上の方にいる。山の上だ。1時間くらいだな」


「ここは歩かなきゃダメよね……」


 リリフの言葉にさすがにここには乗り物はない! とレミナは笑って伝えた。

 アプもひぇーと言っている。


「頑張って登ろう」


 俺は2人を促した。

 みんなで山へと向かう。




「リン君、疲れたらおぶってね」


「えっ!」


 隣で歩いていたアプの急なお願いに俺は慌てた。


「アプ、そんなことさせたら、兄貴喜んじゃうから。」


「ちょっ!」


 俺は変態か⁈


「え? なんで? まぁ冗談だったんだけど……さすがに人1人おんぶで山登りは無理でしょ。そういえばメートリーの森の時に抱えてくれたのはリン君だよね?」


 アパレルは森で俺たちと合流した後はあまり覚えていないという。気を失っていわけだし当然といえば当然だ。



「うん俺。全然軽かったよ。アプ、ちゃんとご飯食べてる? 体重軽すぎじゃない?」


 あの時は生命の危機に瀕してたから、気持ち的に重いとか軽いとかそれどころじゃなかったけど。


「最近計ってないなぁ……たぶん41キロくらい?」


「えっ、私と同じ⁈ ダメダメアプもっと太って! 痩せすぎ‼︎ 私と身長10㎝くらい違うのに! いやぁぁ」


 後ろを歩きながら、リリフは1人で大きな声で嘆き、叫んだ。


「よく分からないけど、リリフはデブってこ…ぐぶはっ‼︎」


 俺は後方から右顎の辺りに妹のグーパンチを食らう。


 一瞬火花が散った後、頭が少しクラクラした。そしてズキっと顎の痛み……まぁたぶんすぐ消えるだろうけど、今は普通に痛い。


「つぅ……」


「信じられない‼︎ もうこれでも平均くらいだもん‼︎ アプが痩せすぎなの! やだぁもう‼︎」


 リリフは一人で激しくご立腹だ。



「リリフは何を怒っているのだ?」


 レミナは会話について行けず、きょとんとした顔でリリフの横を歩いている。


「もっと食べて食べて!」


「と言われても……」


 アプは困っている。


「ユナも痩せてるぞ。リンより背が高いがガリガリだ。そしてあんま食べない。研究好きなやつは食べることも忘れるのか?」


 レミナはフォローのつもりだろうか?

 アプはあははと苦笑いした。


「もう! 研究者って……ホント、もう‼︎」


 リリフはブツブツと呟いている。

 何を言っても今の彼女の気持ちは収まらないようだ。




「じゃあレミナがおぶってやろうか?」


「根本的に間違ってる気がする」


 俺はそう言って、思わずはぁとため息が出た。

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