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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第11章 ユナの元へ
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【今を楽しもうぜ】

「星のマークなんてないなぁ……」


 カヲルはボソッと呟いた。


「星の形の家もないわね。というかみんな同じような形してるわ。本当にあるのかしら。やっぱり街の人に聞かないと」


「さっきから、すれ違う人すれ違う人から避けられてるけどな」


 それはワイズも身にしみていた。

 この街の人は少し排他的な所があるようだ。


「どっかお店とかに入ってみる? カヲルもお金持ってるでしょ?」


「あるけど、そんなに持ってきてないよ? 《探索》で残ったやつは100Gコインがもう200枚くらい溜まってるから、そんな量重くてしょうがないし今はせいぜい20枚くらい」


 そう言って、カヲルはポケットからコインを見せる。ワイズは頷いた。


「そうよね。私もそのくらいだわ。わざわざ200枚も持ち歩く人の気が知れないわ。というかそんな人いないわよね。もはやただのアホだわ」


「リンは今頃クシャミしてるかな」


「ん? 何か言った?」


「いや、なんでも」


 このままでは拉致があかない。

 どうするか……とワイズは考えた。



「とりあえずあそこのレストラン入ってみる? カヲルもお腹も空いたでしょう?」


「そうだな。お店の人だったら教えてくれるかも」


 カヲルも同意した。


 2人は丁度正面にある大きなレストランへと歩き…ドアを開けて入る。


「いらっしゃいませ。2名様ですか?」


 店の中に入ると、すでにウェイターが入口で客を待っていた。


「はい。2名です」


 ワイズは答える。



「失礼ですが、ストゥーベル学院の生徒様ですか?」


「はい、そうですけど……学生は制限とかありますか?」


「いえ、ストゥーベル学院の生徒様は無料でご利用が可能でございます。ようこそいらっしゃいました」


 やはりここでも学院(つまり国)から補助が出るのか……とカヲルは思った。


 ワイズとカヲルはウェイターにテーブルの席まで案内される。


 窓側の外がよく見える席だ。

 VIP対応なわけではないだろうが、かなり優遇されているなと2人は感じた。


「なにかオススメはありますか?」


 ワイズはウェイターに尋ねる。


「はい。女性はこちらの魚のコースがオススメです。男性はこちらのステーキのコースはいかがですか?」


「ステキね。それにします」


「俺もそのオススメで……」


「かしこまりました」


 ウェイターはそう言って、下がっていった。


「こういうとこ本当はグレースと来たかっただろ? ごめんな。俺で」


 カヲルは苦笑いしながらそう口にする。


「うん。でも今は正直分からない。私はこのままグレースを想っていても報われないのかなって最近思うの。彼からは全くそういう対象で見られてないんだもの。みんなの良い監督役。お母さんみたいだってよく言われるわ。それって……」


 ワイズは俯いた。

 下を向いたまま涙が溢れていた。




「まださ……」



「え?」



「まだ俺たちは若いんだよ。そりゃあ思春期だし好きな人もできたり色々とあるわけだけど。人生って長いんだ。俺もリリフちゃ……リリフのことで色々と悩まされた。けど、そんなすぐ結論は出さなくてもいいんじゃないかなって最近思うんだ。焦らなくても……」


「カヲル……」


「人の気持ちなんてどうなるのかそんなの誰にも分からない。自分のことだって分からない。無理に考えるから悩む。でも、分からないなら分からないままでいいんだと思うと気持ちが楽になった。いずれ分かる時が来るかもしれないし、それなら人生は楽しんだ方が絶対良い」


「楽しむ……」



「俺は今こうして自分の親父をワイズと探せて良かったと思ってる。1人じゃなくて良かった。話し相手がいて良かったとスゴく感謝してる。」


「……うん」


 ワイズはそれきり黙ってしまった。

 何か考えているようだ。



 そうこうしているうちに前菜のサラダとスープがやって来た。海鮮がたっぷり入ったマリネのサラダとカボチャのスープはワイズのコースと同じだ。どちらもとても美味しそうである。


 カヲルはサラダをフォークで口に運ぶ。


「美味しい?」


 ワイズは尋ねた。


「うん。美味い」


 カヲルはニカっと笑う。

 まるでリンのような笑い方だ……と思ったけど、なんか楽しい。


「私もいただくわ。食べ物が美味しいって幸せなことよね」


「うん。その通りだ。感謝しないとな」


 2人はとりあえず焦らずに行こうと、ゆっくりと食事を楽しんだ。


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