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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第11章 ユナの元へ
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【ロバ? ヒツジ?】

 港の外までやってきた。

 ここは日差しも強く思ったより暑い。少し動くだけで汗ばんできた。

 もうちょっと薄着の服でも持って来れば良かったかなと少々悔やんだ。



「ここから、西に向かって海沿いを歩くんだ」


 レミナはそう行って、海辺の砂浜の先を指す。


「歩くのかぁ」


 アプはちょっと嫌そうな声を出した。


「金があれば、乗り物も乗れるぞ?」


「《探索》の時にもらってたお金しか持ってないんだよね。これじゃあ結局武器とかも買えないよね」


 そう言って俺はポケットからお金の入った袋を出す。けっこうズッシリしている。


「何言ってんだ? お金は全世界共通だぞ? それが通貨だ。それに武器なんて買う必要ない。ユナに作ってもらえ。リンは回復が得意だから、近接の武器でいいな。キリとかペンチとかどうだ?」


「キリやペンチって俺を敵の囮にする気満々じゃんか!」


「ほほう。気づいたか。さっき戦いやすかったからな」


「あのね……」


 レミナは俺をどうしても前線で戦わせたいようだ。まぁいつも後先考えず最初に突っ込んで行ってしまっている自覚はあるのだけれども。


 ここに来て体の能力?のような感覚が分かるようになってきた。


 特に誰かが危ない目に合っているのが目に入ると力が出て思うよりも先に動いてしまうようだ。それに加えてこの回復力……この先ますます自分の体を省みずに突き進んでしまうことが懸念される。


 これも兵器の遺伝子改造のせいなのか?

  それとも自分の性格なのか……正直分からないとこだ。


(どのくらいのケガだと戻るんだろう……もし頭が吹っ飛ばされたらさすがに無理だよね。それで回復したら化け物超えたただのゾンビだよ)


 自分の体を省みないとこは反省しないといけない。この先どんな危ないモンスターがいるか分からないし、みんなをより危険に合わせたら大変だ。俺は船からずっと自問自答していた。


 その代わりと言っては何だが、レミナは戦闘経験の差か同じクローンとは思えないほど慎重だ。彼女は体が小さいゆえ俺よりも速さは勝る。回復力と腕力は劣るが、薬や状態異常の耐性は強いと言っていた。普通の人がモンスターのような見た目になってしまう薬を何度も使われ実験されていた彼女が、今の姿をずっと維持できていたことを考えるとその説明は納得できる。



「今持ってるお金が使えるのは助かるね! みんないくらぐらい持ってる? 出してみようよ」


 リリフはそう言って、カバンからポーチを取り出した。


「100Goldコインが10枚……1000Gだね。今回の《探索》でグリル村の人たちはお金取らなかったし全然使ってなかったから。それと母からの餞別の5000G」


 リリフはそう言ってコインを見せた。

 俺は母さんからもらったお金のことを今の今まですっかり忘れていた。やはりリリフに預けたのは正解だったようだ。


「私も1000G。管理所でもお金取られなかったし使ってないまま」


 アプの手にはポケットから直に取り出したコインが10枚あった。


「えっとえっと……1.2.3....4...」


 俺は数えきれず、時間がかかっている。


「私は0だ! なんせ落としたからな。しかし、リンは多いな! なんでだ?」


「あ、今までの残りとか……やっぱり全然使ってなかったから。大体ひと月に2回くらい《探索》に出てるから余ったのもざっと200枚くらいかな? レミナとアプにも分けとくね」


 俺は2人に50枚ずつ渡した。



「学院は一度渡したら、生徒から取り上げないのか?」


 レミナは聞いた。


「いや、単純にコロア教授がめんどくさいから引き取らないだけかも……」


 俺はあの教授だから……と伝える。


 レミナは納得しながら、それにしてもお前らは欲がないなと言った。


「まぁこれだけあれば1人100Gのたくしー乗れるな! いっぱい乗れるな!」


「たくしー?」


「車のついた荷台を引っ張って動物で運んでくれるんだ。ロバだけど」


「ロバ?」


「動物だよ! メーって鳴く」


「えっ、見てみたい」


 リリフは目を光らせた。


「乗り場はこっちだ!」


 そう言って、レミナは港の外の西側…横に小屋がある建物に向かった。

 彼女に俺たちも付いて行く。小屋にはレミナの言う動物がいるようだ。





「ヒツジじゃないか。モコモコしてる」


 俺たちが見たのは知っているロバとはかけ離れたふわふわした厚い毛皮の動物だった。


「えっ、ロバじゃないのか⁈」


「そもそもロバはメーって鳴かないよね」


 と、リリフも笑って言った。

 アパレルは遠目に苦笑いして黙っている。


「やぁ! いらっしゃい。ここは『たくしー協会』だよ。どこまで使うんだい?」


 隣の建物から人が出てきた。

 どうやらここは『たくしー協会』という、乗り物を貸してくれる所のようだ。


「ここから西に行った漁村まで行きたい」


 レミナは行き先を伝えた。


「オーケーだよ! たぶん30分くらいで着くんじゃないかな⁈」


「速いな‼︎」


「漁村に着いたら、俺たちはすぐ引き返すけどいいかい?」


 オジさん曰く、たくしー協会がある町に行く場合は戻る必要がないが、漁村には協会がないらしい。


「おう構わないぞ。次の日はリンと世界を回るつもりだが」


「え? そうなの?」


 レミナの言葉にアプは尋ねる。


「世界はちょっと……とりあえず、アプの両親を探そうかなと思ってはいるけどね」


「えっ! リン君ホント? すごい嬉しい。ありがとう‼︎」


 アプは満面の笑みだ。

 彼女が喜んでくれるのはこちらも嬉しいことこの上ない。


「リンと私だけだったら、どこへでも行けるな。ちょっと危険も大丈夫だな。竜の巣とか溶岩の中とか」


「ちょちょちょ……」


 レミナの無謀な言葉に俺は思わず慌てる。


(人を本気で亡き者にする気か⁈)



「さぁ決まったかい? もう乗るのかい?」


「あ、乗ります」


「へい! 毎度! 4人で400Gだよ!」


 俺は『たくしー協会』のオジサンにコインを4枚渡した。


「うん、確かに。さぁ乗って乗って! このアルパカ達はとても足が速いから、あっという間に着くよ!」


 オジさんはそう言って、俺たちを荷台に乗るよう促す。



「あるぱか?」


 俺は荷台に乗った後、聞きなれない言葉に眉をひそめた。


「聞いたことないな。やっぱりロバだろう」


 レミナはロバ主張派のようだ。


「モコモコしてるからヒツジだって!」


 俺はヒツジだと訴えた。


「冗談かと思って言わなかったけど、この子達はどう見てもアルパカさんですよ。メーとも鳴きません」


 アプの言葉にオジさんは君が正解だ!と元気よく答え、『アルパカたくしー』を発進させた。

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