【今回は……】
「というわけです。教授」
グレースはとーまの店の外に出て、通信機でことの成り行きをコロアに伝えた。
『なるほどな。そういうことだったか。ただの女好きな変態だと思っていたが……ロット人の生き残りだったとはね』
コロアが驚きを隠せないでいるのは声だけで伝わってくる。
「まぁそこは間違ってないかと。ただ、彼はあの事件のことをこれ以上知ってそうにないですね。軍に報告したらきっと『とーま』は連れてかれ検体……実験とか、ひどい目に合わされるでしょう。このことは黙っていた方が良さそうです。教授は知ってて俺たちを向かわせたんですか?」
グレースは学院で聞けなかったことを今尋ねる。
『いや知らなかった。お前ら行かせたのは別の理由だ。とりあえず『とーま』のことは黙っていよう。彼にこれ以上のひどい仕打ちは酷だ。お前たちにお願いしたかったのは、ちょっと調べてほしい者がいるんだ。そこの客で』
「客ですか?」
グレースは聞き返した。
そうだとコロアは肯定した。
「ユナとレミナが来てたようなことを吹聴してたやつ。そいつが2人を見かけてから、軍に情報が来るのが早すぎる。どうにも怪しい。男か女かも分からんが、とりあえずそいつのことを『とーま』や周りの町の人にも聞いてくれるか? 危険のない範囲で調べてほしい」
グレースはコロアの言葉に納得した。
確かにリンから通信機で説明を受けた時は全然気にならなかったが、あの時点でマラカナまで情報が行くのは早すぎる気がした。
「そういえば、そうですね。あの2人を知ってる人かもしれないです。ちょっと探ってみます。まぁ着ぐるみ製作に少々時間がかかりそうなんで、町を回るのは今日中には無理そうですが」
『それは仕方ない。私も何度か寄ったことはあるが、あの見た目よりはいいだろ。中身は変わらないが。長時間カトレアと二人きりにするなよ? 私は本気であの店員を殺しそうになったからな。あのサングラスは前私が壊してしまったから2個目なはずだ』
「なるほど。レミナにも壊されたと『とーま』はさっき言っていたので今掛けてるものは3個目ですね」
スキャナーの先で、はぁとため息が聞こえる。
「どうしょうもないヤツだな。しかしあの道具屋の品揃えはスゴくいいぞ。冒険者にはうってこいだな。掘り出し物もある。ま、後は頼んだよ」
あ、ついでにチョコも買って来てと言ってコロアは通信を切った。




