【カトレアさん意外と強いんだ】
「ったくヨォ。いきなり撃つとかヨォ。当たったらどうスンだヨ。まったくコレだからニンゲンは……」
「ごめんなさい、つい」
無理もないとグレースは思った。
「まーレミナのトモダチなら喜ンデ歓迎スルヨ。アノ道もっと細くするカァ。最近男も入って来るからナァ」
「ああ、それで……」
変な道……とグレースは思ったが黙っていた。
「なんで、そんな格好なんですか? はっきり言って気持ち悪いです」
(うわ! はっきり言っちゃった!)
グレースはさっきから心の中で突っ込んでばかりだ。
「脱いだらモット気持ち悪いんダヨ。ニンゲンから見たら」
そう言って、とーまは頭巾を取った。
「えっモンスター……」
カトレアは思わず声が出た。
頭巾の下から出てきたものは、人とはかけ離れた姿だった。
皮膚は爛れたように黒ずんでいて、全体的に緑色だ。そしてボコボコとした何倍にも膨れ上がった輪郭。まぶたもボコボコしており、目は小さく窪んだ下にあった。
まさに化け物のような姿だ。
「10年前、ワケ分かんネー光でこうなっちまったノヨ。その前のコトとか全然覚えてないんだケドヨ」
そう言って、とーまという店員は頭巾を戻した。モンスター変異しても人の意識は失わなかった稀なケースのようだ。
「あの事件の被害者か……」
「事件? 戦争じゃネーのか? まぁとにかくコンナ見た目だから隠してんノヨ。みんな逃げちまーからな。その代わりあんまヒトみてーに簡単に死なネーみたいなんだワ。オレめちゃ丈夫!」
とーまはそう言ってピースした。
どうやらめげない性格のようだ。
とりあえず、最初の印象ほど悪いやつじゃなさそうだなとグレースは思った。
「隠すなら着ぐるみもっと可愛いやつがいいよ!」
(カトレアさん、問題点そこ⁈)
グレースはやはり心の中で叫んだ。
「さっき銃撃ったお詫びに私が可愛い猫さん着ぐるみ作ってあげる!」
「ヒャー! そいつは嬉しいナァ! オマエ恋人にしてヤローかぁ⁈ ヒャ?」
「それは結構です」
カトレアはきっぱり断った。
「んだヨ。そいつ彼氏かヨォ?」
「違います」
「じゃあ違うヤツがいるのかヨォ?」
「彼氏はいません」
そこもきっぱりと答える。
なんか意外と男らしい。
「マジかぁ⁈ じゃー俺にもチャンスあるってことだナァ⁈ マジで惚れちゃうゼィ!」
「好きにしてください。着ぐるみの材料はあるの?」
彼女はとーまの告白に全く気にせずそう言って尋ねた。
「そりゃココはなんでもあるヨォ! だって『とーまの道具屋』だゼー⁈」
とーまは嬉しそうだ。
そして、後ろの棚から綺麗な色の布や裁縫道具を沢山持って来る。
「わぁこんなに綺麗な布……ステキ。あそこの席かりるね! 楽しみに待ってて!」
カトレアは道具を受け取り、そう言って店の左側にあるソファへと向かった。そして着ぐるみ製作に取りかかった。




