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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第10章 意外な人物
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【えっ、バラバラ⁈】

「グレちゃん……」


「カトレア、言いたいことは分かるけど、今はとーまの道具屋を目指そう」


「うん」


 2人は説教ビルを出て、門を目指し早足で歩いていた。


 そしてモーターバイクを止めている所まで急ぐ。門を出て1分ほどで着いた。


 学院の駐輪場は小さいが10台ほど止めれるスペースがある。バイクはそこにあった。


「ふぅ。とりあえずここまで来れば……」


 誰かに聞かれることもないだろうと安堵した。


「そういえば、前回の《探索》でずっと使ってるけどバイク大活躍だね」


 カトレアはそう言って、モーターバイクの座席をポンポンと優しく叩いた。

 まるで生き物を扱っているかのようだ。


「ホントだな。俺たちが乗って帰って来たのは5台。そのうち2台はワイズとカヲルが乗って行ってるし、今1台は港に置きっぱなしだけど。まぁキーがないと動かせないし、今はアプが持ってるだろうからね」


 カトレアはグレースの言葉に頷く。


「こんな事態に移動が時短できるのは助かるよ」


「他の《探索》チームは休止させてるみたいだしな。俺たちが使いたい放題で申し訳ないけど……」


「迷惑かけてるよね。コロア教授は何も言わないけどきっと大変だよね」


「だな。さっきも部屋で誰かが後ろで探っていたようだしな」


「えっ、あ、それで……」


 カトレアはやっと教授の変な発言の意味が分かった。それで大事なことが言えなかったのかと納得した。


「うん。まぁ行けば分かるってことだろう」


「わかった。出発しよう」



 2人はバイクを走らせる。

 第1管理所から第2管理所にかけての橋もあっという間に通り過ぎた。

 やはり天気はロットに向かうにつれどんどんと曇っていく。


 3時間ほどロットを走らせ、グリル村を超えた頃にグレースは一回止まった。それにカトレアも続く。


「どうしたの?」


「この辺りなら良いと思ってさ。レミナに連絡するよ」


「ああ! なるほど」


 グレースはレミナの通信機に呼び出しをかけた。



『はい? 私だ』


「あ、レミナ? 実はさ、聞きたいことがあるんだけど今平気?」


『おぉグレースか。大丈夫だ。今は船の客室だ。あと1時間ほどでピストシアの港に着くはずだ』


「そかそか。実はとーまの道具屋の場所を聞きたいんだけど……うん……うん。了解。グリル村からさらに北ね。ティラタって大きな施設跡まで行かない……途中? 変な人工物のような岩壁の隙間の先に看板? すごいとこにあるな……」


 かなり曖昧な説明だが今のでなんとか行けるだろうと、グレースはレミナの言葉を順番に頭の中でシュミレーションした。


 ピッ……


「あ、ごめん。スピーカー押してしまった。でも、了解! ありがとう。休んでるとこ悪いな」


『いや。いいんだ。暇だったしな。2人は元気か?』


 急に聞こえるようになったため、少し離れた所で待っていたカトレアもそばに寄ってきた。そして「元気だよー! レミナありがとう」と伝えた。


『気にするな。さっきモンスター倒して疲れたからゆっくりしてたとこだしな』


「えっ、モンスター出たの?」


 船の上で……それは災難だったなとグレースは話す。


『ああ。安心しろ! 倒した。誰も死んでない』


「あ、そうなんだ。大変だったね」


 さすがだ……頼もしい即戦力だなとグレースは感心した。


『いや、リンが何も考えず突っ込んで行ってくれたから敵の動きが止まって倒しやすかった。あいつは串刺しになったがな! ははは』


「えっ、串刺し⁈‼︎」


 カトレアは思わず驚きの声をあげた。


『うむ。これからもそうやって、足止めしてくれると助かるんだがな。動いてない的を狙うほど楽なものはない』


「ちょ、リンは⁈」


 グレースは慌てて安否を尋ねる。


『ん? 風呂入ってたな』


「な、なんでそこで風呂なんだよ! あいつはバカか⁈」


「リンリンっ!」


 2人は心配が高まる。仲間が串刺しになるなんて……聞きたくなかった。

 無事なのかと。


『そんなの分かりきってるじゃないか。バカだから、バカなんだろう』


「傷は浅かったのか? あ、刺さったのは手とか足とかだったとか?」


『いや、胸から背中まで突き抜けてたな。血まみれだった。しかもバラバラ……あこっちはサメか。まぁ生きてるよ。気にするな?』


「ひぃ」


 カトレアはバラバラという言葉に恐怖した。


「ごめん全てがすんごく気になるんだけど……」


『まーでもくっついてたし』


「え、バラバラをくっつけたの⁈」


「ひぃぃ‼︎」


 グレースは背筋がゾクっとした。

 カトレアは体が固まっている。もうすぐ失神しそうだ。


『バラバラはサメだな。まぁ私たちは兵器だからね。私も1時間あればくっつくと思うぞ。リンは一瞬だったが。あんまり言うなとユナに言われてるがな』


「レミナまで⁈ あ、カトレアが倒れた……」


『な、なんだと⁈ 大丈夫なのか? そっちへ行こうか⁈ なんならリンも連れて行こうか?』


「い、いや、いいわ。うん大丈夫だ。2人は生きてるんだもんな。兵器だもんな。分かってたことだから……うん。大丈夫」


 グレースは目が泳ぎながら、自分を落ち着かせ……なんとか会話する。


『そうか。なんだか心配かけてスマンな。あとでリンにも連絡するよう言って通信機貸しておくからな』


「あーーーうん。今はリンはいいかな。ちょっと心の準備したいな。あとさ、1つだけ……くっつけたってやっぱツギハギなのかな? それともボンド……」


『ん? なんの話だ?』


「あ、やっぱいいわ。うん。とりあえずみんな気をつけてな」


『おう、またな』


 通信はプツッと音を立てて切れた。


「あ……お話終わったの? なんだっけ記憶飛んでる。なんかすごい怖いことがあったような……」


 カトレアはそう言ってむくっと起き上がった。記憶混濁か?


「か、覚悟してたことだから。分かってたことだ。そうだ……受け入れろ、自分!」


 グレースは1人でブツブツと自分を奮い立たせていた。

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