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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第10章 意外な人物
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【教授?】

 ここは皆一度や二度は来たことがある建物だろう。学園の門から西に進み、男子寮の1号館を越えた先にそれはあった。


 ほとんどの生徒はチームの報告や自分のレポートなどの提出物を出しにこの建物にやって来る。生徒からは『説教ビル』と密かに呼ばれていた。


 この学院には職員室のような場所ではなく教授一人一人に自室とは別の仕事の専用室が与えられている。


 講義がない時など、平日の日中は大体教授はそこにいる。用がある生徒は必ずここの教授の部屋まで来て用事を済ませているのだ。


 コロア教授は《探索》チームの顧問で今は授業などの受け持ちはしていないようだ。彼女の専用室はここの6階にあり、グレースとカトレアはドアの前まで来た。


 グレースはドアをノックをする。


 「ほいよ〜入んな〜」


 眠そうな間延びした声が聞こえた。


「失礼します。グレースです」

「失礼します。カトレアです」


 2人はコロア教授の待っている部屋へ入った。


「呼び出してすまんな」


「いえ、こちらこそ。色々とBグループがご迷惑かけてしまって……」


「まぁ問題ないよ。軍からリンが動くことは許可されてるし、《探索》のメンバーもそのサポートってことで何ら問題ない。海越えは黙ってりゃバレないだろ。バレたらそん時はそん時だな」


「ありがとうございます。ところで、用件とは?」


「なんか、堅っ苦しいな。カトレアも随分疲れてるように見えるがどうした?」


 コロアはグレースの横でぼ〜っとしているカトレアを見た。


「えっ、いや、疲れてないです。大丈夫です」


(グレちゃんのグチが思ったよりヒートアップしてて精神的に疲弊しました。はい。)


「まぁいいか。実はな、メラクニル村の問題が思ったより深刻そうなんだ。村人は……これは極秘だが、リンから聞いてるか?」


「モンスター化ですか? 裏切り者と黒幕がいると。それはマラカナ、アプ、ユナの3人が口にしてますね。マラカナの件はリンから聞いただけですが」


 グレースは答えた。


「そうだ。今回は《研究》チームの被験薬を使っても、誰も戻らなかったそうだ」


「誰も⁈ えっ、じゃあ村は……」


 カトレアは驚いた声を出した。


「安心しろ。『被験薬』で戻らなかったが、全員人の姿に戻っている」


「どういうことですか?」


 グレースも尋ねる。


「時限式の効果が切れるタイプの薬かなんかだったようだ。新薬か、それとも……」


「それとも?」


「リンたちのように、兵器の特殊能力のような力かだな」


「そんな魔法みたいなことが?」


「まぁにわかには信じがたいがね」


 ユナから聞いた話やリンたちのことを考えればあり得ない話ではないな……とグレースは思った。


「この国は周りの国との交流はほとんど行なっていないからな。ピストシアとシーモアから船が出てるくらいか? もしかしたらどこかよその国で、何かを企んでるものがいるのかもしれない」


「今回は警告のつもりですかね」


「勘がいいな。私もそう思ってるよ。誰に対しての警告なんだか分からないけどなぁ。国か軍か政府か」


「退っ引きならない状況になってきてるのは分かります。実際周りでも色々と不穏な動きを感じますね」


「それでな。お前ら2人にはロットのとーまの道具屋を探してほしいんだわ」


「えっ」


 グレースとカトレアは目を丸くした。


「あの噂の?」


 それはレミナから変な店員で変な店だと…ユナは二度と行きたくないと言っていたあの道具屋だった。


「そうだ」


「それはたぶんレミナに聞けば場所は分かると思いますが……なぜ?」


 グレースは疑問をぶつける。

 当然だった。

 理由を聞きたい。



「ああそれは……ん?」


 コロアの目線はグレースとカトレアの後ろにいっている。


「教授?」


 しかし、すぐにこちらに戻した。

 ホントに一瞬のことだった。



「あぁゴメン。そこにチョコが売ってる」


「チョコ?」


「すごく甘くて美味しいらしい」


「それが用件ですか」


 グレースとカトレアは不穏な目でコロアを見た。コロアは言ってる内容とは真逆に真面目な顔をしている。


「そうだ」


「それが何か薬になったり、材料になるとか?」


 カトレアも聞いた。


「いや」


「食べたいだけですか?」


 グレースも聞いた。


「そうだ」



「………………」


「………………」



「チョコは甘くて美味しい。中には酒も入っているのもあるらしい。知らないうちに意外なものが入っていることってあるんだよな。きっとそこには重大な意味があるんだ。なぁ頼む。行ってくれないか?」


 最初はワケが分からず混乱したが、今の教授の言葉でグレースは確信する。


「……そうですね。行きましょう」


「へ?」


 カトレアは今のコロアの言葉に納得したグレースに納得が行かない。でも空気を読んで黙った。


「ありがとう。助かるわ。何か分かったら通信してくれ。じゃあ任せたからなっ!」


 コロアは最後にカトレアは特に気をつけてな…と言っていた。2人は謎を残したまま黙って頷き部屋を出た。

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