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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第9章 船に乗って島へ
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【アプさん誤解です】

 船のシャワー室から出た俺は、客室まで目指して廊下を歩いていた。


 あんな騒ぎのあった後だ。

 他の客は部屋に引っ込んでしまっているのか、誰も歩いていない。


(ま、仕方ないよね。あんなん襲われたら怖いし、真っ先に狙われるのを防いで外には出たくないよな)


 俺は着替えたばかりの自分の服を見た。


 せっかく母からもらった服を1枚ダメにしてしまっていた。もっと戦い方を考えないとな……と猛反省した。


(帝国はあんな凶暴なモンスターが多いなら、レミナみたいに武器が必要かも。普段はしまっておいて瞬時に出せるやつ……レミナはムチだったけど港に着いたら探してみようかな)



「あ……」


 少し離れた先の廊下で声がした。


 聞き慣れた声だ。

 こちらへ向かってくる。



「あ、アプ」


「リン君! 大丈夫だった?」


 そう言ってアパレルは近くまで来た。


「う、うん。不思議な話だけど、体は全然なんともないよ」


 あれだけの傷を受けてなんともないとか…今更ながら自分の体がとても怖い。本当に遺伝子改造されているんだな……と、今頃になって実感していた。


「本当になんともないの? そんなこと起きるなんて……」


「ははは。ヤバイよね。超回復って言うんだってさ。いっぱい切られても死なないのかね。もうモンスター越えた化け物だよね」


 俺はそう言って、右手で自分の後ろ髪をクシャっと掴んだ。


「超回復……すごい能力だね。レミナは色々聞いたけど教えてくれないから」


「えっ、なんでだろう」


「わからない。信頼されてないのかもしれない」


 アプはそう言って下を向く。

 俺とそう背の変わらない彼女はとても賢く…そして綺麗だ。


「そういうわけでは……さっきシャワー室でこんな話は他の人に聞かせられないみたいなこと言ってたし」


 俺は慌ててフォローする。

 レミナは信用してないとかそういうことではないと。きっと事情がある。


「私は軍と繋がってると思われてるのかな? マラカナやギアス姉弟に監視されてるし……って、えっ? シャワー室で⁈」


「監視は俺もされて……って、あっ! 別に一緒に入ってたわけではないよ? 仕切り越しに。いくらなんでも、あんな子どもみたいな見た目でも女の子とは入らないよ!」


 俺は慌てて訂正する。

 これは失言だ。

 1番誤解して欲しくない人に……と。


「うん。誰と入っても別にいいけどね」


「入ってないよ?」


「ん? 全然気にしてないから大丈夫だよ? 法律に違反しないか考えてただけ」


「しないでしょ‼︎」


 なんとなく、アプの目が冷たい。


「あ、私もう行くね!」


「あ……」


 彼女は行ってしまった。

 俺は部屋に入っていくアプの後ろ姿を見届ける。




「全然気にしないか……」


 俺は寂しい気持ちで自分の部屋に戻った。



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