【名残惜しいレミナ】
トントンとドアを叩く音で目が覚めた。
ここはどこだ?
と寝ぼけ頭で考える。
そしてすぐに実家だ……と思い出した。
「兄貴〜そろそろ6時だよ。起きてるー?」
ドア越しに妹の声が聞こえた。
俺は今から行くーと伝えてベッドから降りた。昨日母が用意してくれていた服に着替える。そして出かける準備の仕上げをした。
置いてあった服は男性服としてはけっこう小柄なサイズで、今の俺の体にピッタリである。
わりと高身長だった父さんの服ではなさそうだ。
ユナとリリフの父の物だろうか?
俺は1階に降りた。
「リンおはよう。よく寝れた? 朝ごはん食べる?」
リビングまで来た俺に母は声をかけてきた。俺は食べる! と答える。
「待っててね」
リサはそう言って、パンを切っている。フライパンの上には目玉焼きとノア肉ベーコンのコンビが残ってた。
とっても美味しそうである。
良かったいつもの母に戻っていると俺は安心した。
テーブルまで来るとリリフとレミナはもう食事を食べ始めていた。おはようと言ってきた2人の服も昨日とは違う。
「あれーその服……」
レミナの今の格好に見覚えがあった。
「ん? ああこれはリンの昔の服だそうだ。リリフの服よりも、私の好みに合っていたのでな。借りてるぞ」
なるほど通りで……と納得した。
確かにピンクや黄色のヒラヒラした服よりは、レミナは赤や青でボーイッシュな方が似合う。
「ちゃんと洗って返すぞ」
「いや、それ俺もう着れないから。レミナにあげるし、好きなだけ持っていっていいよ」
「ホントか⁈ 悪いな! いただこう。あまり着替えがないのだ」
レミナは嬉しそうに笑った。
「リリフも似合ってるね、その服」
「私は母さんの服を借りたわ。落ち着いたステキなワンピース」
「欲しかったらあげるわよ。それも私の若い頃の服で、もう来てないからね。良かったら何着か持っていって。リンもディックの服だけど」
「ありがとう!」
俺たちは遠慮なく服をいただいていく。母の気遣いがとても嬉しかった。
朝食をみんなで食べたらもう出なくてはならない時間だ。
港で仲間が待っている。
身支度をしていると、母は俺に小包渡してきた。包みを確認すると中にはお金やお菓子など結構な量が入っている。
俺は驚いて母を見た。
「少しだけど足しにして。来てくれて嬉しかったわ。みんながんばってね。いつでもまた寄って」
俺たちはありがとうとお礼を言って家を出た。そのまま坂を下る。
レミナは名残惜しいのか後ろを何度も振り向き、ドアの前にまだいるリサに手を振りながら歩いていた。




