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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第1章 そして物語へ
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【リンとアプの出会い】


「おなか減ったな……」


 今日は授業の何もない日だった。


 同級のみんなは講義に出席していて、ほとんどいない。


 俺は食事をしようとテラスに行ったが、本を開いたまま眠ってしまっているグレースに気づき、起こしては悪いと思い店を出てしまった。


 店の外で偶然リリフに会ったが、授業が始まるからとすぐに去っていった。



 俺は遊休広場のベンチに寝転がっている。

 学院の中ならどこでも使えるIDカードを手で遊びながら、ぼ〜っと空を眺めていた。



「この学校は何でもあるけど、外に比べたらつまんないよな。なんか人間用の虫かごみたいだ」


 そう呟いても誰も聞くものはなく、声だけがむなしく空回りする。


「つまんねぇ……」




「何がつまらないの?」



(えっ……?)


 頭の方で声が聞こえた。


 ちらりと上を見ると、女の子が1人目の前に立っていた。


 俺の知らない子だった。



「えっ! あっ、その……ここの中ってヒマだしつまんないなと思って……」


 面識の覚えがなく、授業でも見かけたことはなさそうだ。


 お互い初対面だと思われる。


 だらしなく寝転がっていた俺は慌てて起きあがり、ベンチに乗っけていた足を下ろした。


(ホントに覚えがないな。誰だろ……)


 彼女は俺の言葉に顔を横に傾ける。


「ここの中ってこの学院のこと?」


「そうだけど……?」


 何か間違ったことを言ったのだろうか?

 少女の疑問がわからない。


「そんなに『外』って楽しいの? 私は《研究》チームだからここを出たことないんだよね。君は《探索》チームかな?」


 長い髪を指先でいじりながら笑っているその女子はクリーム色のきれいな髪をしていて、整った綺麗な顔だちをしていた。


「うん。《探索》チーム・Bグループのリンだよ」


 俺は質問に答えた。


「リン君ね。Bグループって、頭いいんだね!」


「いやいや《研究》チームと違って《探索》チームにはそういうグレード分けないから、全然頭良くないよ!」


 というか勉強けっこう苦手〜と俺は答えた。


「そうなの? 私は《研究》チーム・Cグループのアパレルです。ヨロシク。みんなはアプって呼んでくれてる。年は18歳になりま〜す」


 年は俺より上だったか……と思ったが黙っていた。《研究》チームランクD以上のグループはかなり上級のレベルでないとそう簡単には入れないらしい。


 彼女は相当優秀でエリートだ。


 ここでは《研究》チームだけは他のチームとは別格で、いずれ政治家か研究者か、キャリアになる人材を集めた集団とも言われている。


 この『ストゥーベル学院』には生徒が4万人。その中で150人くらいしかいない《研究》チームに入れるだけでも凄いことだと前にグレースは言っていた。



「オーケーアプだね! 俺はまだ16だよー年下だね……って、あっ! 今何時⁈」


 唐突に張り上げた声にアプは少し驚いていたが自分の腕に付いているスキャナーを見て今は4時くらいだと教えてくれた。


 スキャナーはグループのリーダーか副リーダーが持つものだ。

 うちのグループではグレースとワイズが持っている。


「リン君、何か用事? あ、もしかしてグループの方?」


 ここではグループごとの活動内容など、他のグループの人間に口外することは一切禁止されている。


 何か問題が発生したとしても、1つのグループ内で解決が原則だった。


「まぁね。俺もう行かなくちゃ。またどこかで会ったらよろしく!」


 俺は軽く手を振って、その場から離れた。


 アプが何か言っていたようだが、良く聞き取れなかった。

挿絵(By みてみん)

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