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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第8章 聞かされた真実
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【みんなでまったり】

 リサに促され家の中に入る。

 そしてリビングに案内されて、みんなでテーブルの席についた。母の出したお茶を飲み、ふ〜っと一息つく。


 俺とリリフが出て行った後、母が1人だった家のキッチンや居間はとてもキレイに整頓されていた。棚の上にはリリフと母と3人で撮った写真が何個か飾ってある。そこは昔と変わらない。



「2階の部屋は2人が出た後、そのままにしてあるからね。学院が今日みたいに外出させてくれるならいつでも来ていいのよ」


 母は優しく俺たちに声をかけた。

 今日は勝手に抜け出して来てるんだけど…と思いつつも俺はありがとうと伝える。


「ここ落ち着くぞ! お茶も美味い。気に入った。母君も優しくてサイコーだ! ふむ。嫁にくれば解決だな」


 レミナはそう言って、笑顔でお茶をすすっている。


「誰の嫁だよ……」


 俺はすかさずツッコミを入れた。


(俺とレミナは兄妹よりも双子よりも近い。XYの染色体だけ変えたクローン同士だって分かってるのかなぁ……)


「ふふふ」


 レミナは不敵に笑った。


「確かに落ち着くよ! リンリンとリフリフはここで育ったんだね! ちょっと坂はキツかったけど、海も窓からよく見えるしロケーションばっちし」


「だねー! 二人の部屋も見てみたいな。後で行って良い?」


 カレトアやアプもイスにゆったりと腰掛けそう言った。


「えっ、部屋どんなんなってるかな……」


 俺は戸惑う。

 部屋の状態の記憶は8歳で家を出た時のままで止まっている。


「私も自分の部屋見るの怖い」


 リリフは苦笑いして言った。


「掃除はしてるけど、全部そのままにしてあるわよ。リンの部屋はよく分からないオモチャやガラクタがいっぱいあるわね。リリフの部屋は絵の道具や本が多いわね。絵が好きだったものね」


 母の言葉にそうだったそうだったと俺たちは思い出す。

 リリフは絵を描いたり、静かに本を読むのが好きな子どもだったのだ。


 そして、俺は冒険と称して色々な所から拾ってきたガラクタや剣などのオモチャで溢れていることだろう。学院に行ってもしばらくそれは変わらなかった気がする。


「私の自分の家はもうなくなっちゃったから、どこにも帰れないけど……ワイズといっぱいお花を摘んだり、おままごとして遊んだわ。とても楽しかったなぁ」


 カトレアは今どうなっているのか、故郷を見に行ってみたいとしみじみ話し出す。


 お茶菓子をつまみながら、みんなの思い出話に花が咲き、幼少の頃の会話は弾んだ。



 そうしてしばらくの時が流れた頃、聞き慣れた通信機の呼び出し音が鳴った。

 今はグレースもワイズも不在なため、他にスキャナーを持っている人はアパレルだけである。


「あ、はい? もしもしアパレル。うん。りょうかいです!」


 彼女はそう言って通信機を切った。


「ワイズから連絡来たよ。宿取れたって。いつでも来て大丈夫だって!」


 《研究》チームからではなかったようだ。


「あれ、アプ、Bグループの番号知ってるの?」


 俺は尋ねた。


「あ、そうそう。コロア教授がグレース君とワイズが持ってる通信機の番号教えてくれたの。ここまで関わってるなら使っていいよ! って……連絡ができるのはとても助かる!」


 アプは嬉しそうにそう言った。


「この件が片付いたら私、《研究》チームやめようと思ってるんだ。両親のこと知りたくて今まで頑張ってきたけど、正直もう《研究》チームの中で利用されるの疲れちゃった。コロア教授も良かったらうちに来ないかって言ってくれてるの」


 アパレルはそう言ってお茶をすすり、あ〜美味しいと呟いた。


「ホント? アプがBグループに来てくれるの? すごく嬉しい!」


「あ、それいいね。女子増えるの嬉しい」


 カトレアはアプの移籍を喜び、静かに座っていたリリフも同意した。


「Bグループかは分からないけどね。でも、みんなと一緒だったら嬉しいなぁ……」


 アプはそう言って、にこりと笑った。

 もちろん俺もそうなってくれれば、いつでも一緒いられて文句なしに最高である。


「それは賑やかで良いな! 今もとても楽しい。ずっとユナと2人だった。その前は棺桶? のような毎日だ。私もできればこのままみんなといたい」


 レミナはそう言って学院も興味があるぞと告げた。機嫌よく体を縦に振っている。


「あ、そろそろ行かないと。部屋見そびれちゃった。2人とも今度見せてね!」


 アパレルは立ち上がる。

 そろそろ夕方に差し掛かり、オレンジ色の夕日が辺りを照らしていた。


「あ、お邪魔しました。リサさんお茶とお菓子ごちそうさまです」


 カトレアも言いながら席を立つ。


「いえいえ、また遊びに来てね。気をつけて宿に行ってね」



 レミナは最初の予定通りここに泊まるようだ。俺も立ち上がり、玄関まで2人を見送る。


「またねー」


 と、ドアから出たアプとカトレアはそのまま港を目指して坂を下っていった。

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