【彼女は空気を読まない!】
「驚いたな……」
ユナの告白により、3人は驚きを隠せないまま立ち止まっていたが、ふいに後ろから声がかかった。
「えっグレース⁈ なぜ、そこに⁈ ってみんなまで⁇」
そこには、学院にいるはずのBグループのメンバーとアパレルがいた。
どういうことか分からない俺たちは目を丸くして呆然としていた。
横にいるレミナは突然現れた人数の多さに
「なんだ? なんだ?」と、上機嫌で体を横に降っている。
「教授の計らいで学院を抜け出せて、港までバイクですっ飛んできた。ちょうどリンたちとユナが……それ通信機? で話してる所に出くわしまして」
グレースはそう言った後、レミナに初めましてとにこやかに挨拶する。
「ユナ君がとーまの道具屋もう二度と行きたくないあたりから聞かせてもらいました。あのねレミナにお願いがあって来たの! 彼が解毒薬と予防薬を作ってるなら、私にも手伝わせてほしい。学院でも特効薬…作ってるんだけど、もう限界があって……どうか彼の元に連れて行ってほしい! お願いします」
アプはそう言って、レミナに駆け寄る。
「おう。いいぞ」
レミナはアプの手を取り笑顔で即答した。
そしてアパレルの手の甲をスリスリして「へへへ」と言っている。
(えろオヤジか!)
「え、いいの?」
アプは唖然とした表情で呟いた。
「良いに決まっている。アプとは森で会ってる。知り合いだ。リンとリリフももう友達だ。そこにいるカヲルは森で見た。すけべそうだな。そこの。グレース? いけめんだ。後ろにいる女2人。キレイだ。みんな文句ない。連れていってやろう」
えっへん!とレミナは手を腰に当てて、このレミナに任せとけ!と言った。
「なんか俺のことだけ、ディスってませんか?」
カヲルは頭をポリポリと掻いて、苦笑いをして言った。
「お前はリンたちに怒ってる。言いたいことあるな。言ったらどうだ?」
レミナはまるで、カヲルの心を読んだかのように即答した。
勘がするどいのだろうか……
「エスパーか! まぁ怒ってるけどね。じゃあこの場を借りて……リン」
「ん?」
呼ばれて振り向くと、一瞬カヲルの顔と拳が……見えた。
同時に鈍い音……そして頭に衝撃が走る。
「ベフっ‼︎‼︎」
カヲルは俺を上からぶっ叩いたようだ。
俺は衝撃で地面に叩きつけられる。
「バカヤロウ……置いていきやがって。何が親友だ、バカ」
カヲルはそう言って後ろを向いた。
俺は衝撃でしばらく地面に突っ伏したまま茫然としていた。
「あっ……」
(痛い……けど)
「やめて! カヲル君! 私が頼んだのよ!」
リリフは俺の前に立ち、カヲルの腕を掴んで訴えた。
「もちろん、怒ってるよ。すごく」
カヲルはリリフの手を振り払い、今までにないくらい怒った目でリリフを睨む。
「ごめん……ごめんなさい」
拒絶され信頼が……心が壊れそうになりながらリリフはただひたすら謝っていた。
「カヲル……みんなもホントごめん。心配かけた」
俺も起き上がり謝った。
とても気まづい空気だ。
きっとカヲルの怒りを解くには時間がかかるだろう。俺はそれ以上何も言えず……立っていることしかできなかった。
そして頭はズキズキと痛い。
「よし! これで一件落着だな。スッキリだ! あとはリンたちの母君をみんなで待とう! あー良かった。」
『本当に⁈⁈』
空気を読まないレミナ。
さすがだ。
みんなの同時のツッコミがこだましていた。




