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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第8章 聞かされた真実
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【ユナから語られる真実】

『とーまの道具屋ね。うん、確かに行ったよ。僕はもう二度と行きたくないけどね』


 ユナはレミナに促され、俺の質問に答え出した。その際、道具屋のことも聞いたのだが、どうやらユナはトラウマな経験をしたようだ。


(とーまの道具屋ってホントどんな所なんだ)



『ちょっとお願いがあるんだけど、リンに渡したじーぴーえす、レミナに持たせてくれないか? 僕はちょっとしばらくそちらへ行けそうにないんだ』


 ユナは言った。


「それは構わないけど、さっきレミナがユナに用事ができたって言ってたけど何かあったの?」


 俺はレミナにじーぴーえすを渡しながら、そう尋ねた。ユナが危惧して俺に警告してきたことがとても気になっていた。


『人類を破滅に導く何者かがとうとう動き出したんだよ。学院でも聞いただろ? 国はモンスターの襲撃って言ってるけど、襲撃じゃなくて村人をモンスターに変える薬をバラまいたやつがいる。たぶん、そいつが黒幕だ』


「破滅……」


 横で聞いていたリリフは驚いた顔で呟いた。


『そうだ。僕は今、ある小島の研究室にいる。レミナと二人で2年前この島に渡ってから、島人の力を借りて作った研究施設だ。僕はこれから研究を急ぐ。メートリーの森でレミナに調べさせた調査結果をもとにモンスター化の解毒薬と平行して前もって予防する薬ができそうなんだ』


「え、すごい! ユナは学院から出ても《研究》チームみたいなことしてたんだ……」


 俺はアプみたい……ホントに2人は頭が良いんだと呟いた。


『あれだけ嫌がっていたのに僕は結局叔父から引き継いだ知識を使って研究するしかないんだよね。今でも彼の思い通りにレールの上を進んでる』


 そして、今から話すことはとても長い話になる。おそらく衝撃を受けるだろうから、もし聞きたくなかったらやめるよとユナは静かに言った。


「覚悟はできてる」


「私も……」


 俺とリリフは言った。


「私は知ってることだが、また聞くぞ」


 とレミナ。


『まず、初めに自分たちはストゥート人だと思っていると思うけど、叔父も含めリンやレミナたち実験体にされてた人たちは全てロット人だ。リンたちはロットの人間なんだよ。ストゥートの研究者は身寄りのない子どもを金で買い、人体実験を繰り返していた。文明が発展していたストゥートは広い目の届かないロットの土地を利用して非道な研究を行っていたんだ』


「俺たちはロットの人間……!」


 ユナから聞かされる事実。

 自分達がロット人……序盤からかなり驚いたが、黙って次のユナの言葉を待った。


『ことの始まりは12年前の第2兵器の投薬実験で起きた体の変異。それがきっかけで人体強化のヒントに繋がる成分がみつかる。リンより1つ下だった第2兵器はまだ3歳くらい。モンスターのような姿に変異した彼の体を利用し強化薬を培養してたくさん作っていた。そしてレミナに投与して実験を繰り返していたんだ』


 レミナの体が年齢の割に小さいのはそのせいだ…とユナは言った。今、横にいるこの子がそんな目に…と俺とリリフは胸が苦しくなる。


『リンは早くから、リサに引き取られていたから強化薬の投与はされてないはずだ。ソルトウェルトは自分も実験体の生き残りだったが、おそらくもうすぐ寿命が尽きるだろう。自分とリンを重ねて見てた叔父は良心から理由をつけて研究室からリンを遠ざけたのだと僕は思う。レミナも2年前、わざと僕に一緒に逃げさせるよう仕向けたんだなって最近分かった。ある人に会ったんだ。当時の……ソルトウェルトの担当で施設責任者だったシークって人の弟に半年前くらいに他の国で偶然会い、当時のことを聞いたんだ。その人は全てを知ってるわけではなかったけど色々と教えてくれた』


 マラカナの言う通り、父さんも被害者なんだなと思った。


「たとえそうだとしても実験を繰り返したことは許されることじゃないけどね」


 クローンだからってレミナたちにしたこと……これは絶対許されない。いっそ止めるなら施設壊すとか…方法はいくらでもあったはずではないか。


『そうだな。そして今から10年前に事件は起きた。施設から強化薬を盗み、第4兵器の力を使ってロットの国中に撒き散らしモンスター化を起こさせたやつがいる。国は失態を隠そうとロットとの戦争と称して徴兵し、派遣させた。ロット人は戦争で勝つためにモンスターの力を使ったとでも言って討伐させるつもりだったんだろう。しかしこれも第4兵器の自爆によって、その場にいた兵士や大人たちは全員死亡、そしてモンスターは残るという国にとっては最悪な事態に終わったんだ』


 この国のシナリオが変わる。

 彼から聞かされる真実。

 彼は間髪入れずにそのまま続けた。


『責任を負わされた叔父たちは兵器開発を中止し施設を一時閉鎖。代わりに学院を作り、残された孤児の管理をすると同時に子どもの教育の場を作った。そして《研究》チームという隠れ蓑を使い、モンスター化の解毒薬の研究を進めさせた。第4兵器は人外生物なんて聞かされてたけど、真っ赤なウソだ。変異した第2兵器をさらに強化したのが第4兵器……人外とか言って元は3歳の小さな命だった。そして第5兵器は生物じゃない。恐らくは核兵器。人類どころか、地上の全てが終わる終焉の黙示録そのものだよ』


「そんな……」


 リリフはひどいと絶句している。

 色々と説明を受け、俺は頭の中が混乱していた。


『僕はこれから薬を完成させて叔父の残した最後の仕上げを終わらせる。とにかく第5兵器を使わせるわけにはいかないからね。あれを使われたら今度こそ人類だけじゃなくこの星は破滅だ』


「ユナ1人でできるの?」


 俺は聞いた。


『正直人手が足りないし、情報不足だけどやるしかない。当時のことは叔父とアパレルって子の両親と数人しか知らないと思う。そして残念なことにそのアパレルって子の両親は何者かによって、研究を盗まれた時に行方不明だ。生きてるのか死んでるのかも分からない。人類がみんな化け物にされてしまうか、ワクチンが完成し黒幕の野望を止められるか、これから時間との勝負になるよ』


 そしてユナはできるならアプの両親を探して欲しいと言って通信を切った。



「レミナも混乱だ。知らないことの方が多かった。ユナめ。隠してたな」


 俺たちは3人、聞かされた事実にただぼ〜っと放心するより他ならなかった。

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