【初めまして】
「もしかして君が、レミナ……」
俺は恐る恐る口に出す。
「よくわかったな。私はレミナだ。ん? その腕の石はユナの……そうか、お前リンだな。森で見た。アプが倒れた時だ。そっちは知らないな。はじめましてだ」
リリフは圧倒されながら、はじめましてと名前を伝えた。
レミナは
「そうか! リリフかよろしく!」
とテンション高く答えた。
「とーまの道具屋に……」
まさか行かなくてもいきなり会えるとは…と俺は思わず笑ってしまった。
「ん? よく知っているな。そこは何日か前行ったぞ。変なところにある変な店だった。店主も変なやつだった。全部変揃いだ。まさに変人の変な店だ」
レミナは熱く語った。
そこまで変だと逆に興味が湧いてくる。ロットに行った時は探してみてもいいかもしれない。
(いや、そんなことより……)
「ユナはいないの?」
俺は尋ねた。
レミナは見ての通りだ! とすぐに答えた。
「ユナはひと足先に昨日港から帰ったのだ。用事ができてた。私はとーまの店に忘れ物をした。取りに行ってから帰ることにしたのだ。だから遅くなってしまった。今日帰るつもりだったが、港がしまっていた。今それをユナにコレで伝えたところだ」
そう言って、レミナはスキャナーに似た通信機のようなものを見せてきた。
「これで話せるの?」
「ああ、話せるぞ。リンも使うか? ユナと話すのか? いいぞ。貸してやろう。店に忘れたのもコレだ」
(えっ、これ忘れたの?)
と、心のツッコミが入る。
「それは取りに戻るね。とりあえず貸してもらえると助かる! ちょうど掛けたかったんだ」
そう言ってレミナから受け取った俺は、グレースのスキャナーにかけた。
「あ、もしもし、グレース? リンだけど、実はさ……」
通信機の先にいるグレースに今の自分の状況を簡単に説明した。
母親に会いに学院の近くの港にリリフと来ていること、秘密の抜け道からこっそり出てきたこと、港でレミナと会ったことなどをざっくりと伝えた。
『全然帰ってこないからどうしたのかと思ったよ。まぁとりあえず事情は分かった。こっちはあれからまだみんなと個別……え? あ、B室? で待機中だ』
グレースは事の成り行きを知り、あんま無茶はするなよと言った。
「いきなり、何も言わず抜け出しちゃってごめんね。みんなにもごめんて言っといて」
今はスピーカー機能ではないのか、こちらもグレースの声しか聞こえない。
『まぁ心配してたけどな。教授にも後でうまく言っておくよ。マラカナにとーまの道具屋? 探してきてって言われて、行ったらしいとか適当に。カヲルは秘密の通路すっかり忘れてたとさ。よく覚えてたな。あと、レミナ? いるんだっけか? とりあえず、リンたちの親御さんの家で匿ってもらった方がいいんじゃないか? 軍に捕まったら困るだろ? 3人とも気をつけてな』
グレースはそう言って通信を切った。
俺はレミナにありがとうと通信機を返す。
「ん? ユナに連絡取らなくていいのか?」
通信機を返されたレミナは不思議そうな顔で聞いた。
「とりあえず、ここではやめた方がいいと思う。いくら人が少ないとはいえ目立つからね」
俺はそう言って、これからユナの本当の母でもあるリサの元に行くことを伝える。
「変な所にある変わった道具屋さん? でも目撃されてるくらいだしねぇ……」
リリフもそう言って、ここから早く移動した方が良いと告げる。
「わたしも行っていいのか?」
「全然いいよ。それにユナに聞きたいことや伝えたいこといっぱいあるし。とりあえず行こう」
俺たちはレミナについて来るよう促し、坂の上の自宅目指して出発した。




