表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第1章 そして物語へ
5/219

【Bグループのリーダー】

(今は三時半くらいか。集まりは五時からだから、もう少し時間があるな)

 講義を終えて昼食をとったはいいが、この心地良さについつい眠ってしまったらしい。

 グレースが座っている席の、目の前のテーブルには、読みかけの本が開いたままの状態で置いてあった。

 これは確かにさっきまで、自分が読んでいた本である。

(まいったな。こんな場所で寝るつもりは全くなかったんだけど。思っていたより、俺もだいぶ疲れていたらしい)


 今は昼の時間帯よりも少しばかりずれているためか、ここのカフェには客がほとんどいなかった。

 つまり、かなり静かな環境なのである。

 自分の意識が消える前の記憶をたどってみると、おそらく30分は寝てしまったことだろう。

 少し前まで隣にいたはずの客も、もう帰ってしまったみたいだ。

(まぁ、無理もないか。ここ最近まともに寝れていなかったからな。明日は……ん?)

 一瞬視線を感じ、顔を上げた。

 だが周りを見回してみても、特に変わった様子はない。

(あー本当に疲れてるんだな。とりあえず部屋に戻って、風呂でも入るか。集まる時間まで、まだあるし)

 グレースは先ほどの読みかけの本を鞄に仕舞うと、ゆっくりと席を立った。


(リン……カヲルに伝えといてくれたかな)

 カフェを出ると、すぐ横にはちょっと広めの広場がある。

 昨日はここでたまたま級友に会い、今日の午後五時に4号館の5Fフロアのグループの部屋へ集合するように伝えた。

 この学校の敷地内には大きな建造物が沢山存在するが、1~3と7~12号館が主に生徒の寮で、4~6と13、14号館がそれぞれのグループが活動する施設になっている。

 基本授業などを行う講堂は全部で22棟あり、他に喫茶店や公園、病院や服屋といった様々な設備が用意されていた。

 昔はこの広さゆえによく迷子になったり、行く講堂を間違えて授業に間に合わなかったりしたものだが……。

 この学院に自分が来たのは、確か八歳のときで、いつしかここでの暮らしは当たり前の生活へと変わっていった。


 自分同様、学院にいる生徒の多くは、幼少時ぐらいから、すでに両親を亡くしている者ばかりだ。

 うちのグループのメンバーでも、確かリンは母親が、カヲルは父親が一応いるらしいのだが、他のメンバー二人のご両親は、先の戦争に巻き込まれて亡くなったらしい。

 二人ともかなり幼かったから、当時のことをよく覚えていないらしいのだが……。


 そうこう色々と考えているうちに、自分の部屋の前に着いた。

 ドアのノブをまわしたが、鍵が掛かっているのか開かない。

 まだルームメイトは帰ってきていないみたいだ。

 グレースは部屋の鍵を出そうと、ポケットを探る。

 ふと……今回の企画を思い返した。

 けっこう無謀だとは思うが、期間は短いし、そんな危険はないだろう。

 どちらにせよ、生徒は学院(ここ)の命令に従うしかないわけだし、過去にはもっとやばい時だっていっぱいあったんだから。

(二人なら、俺らがいなくても、きっと大丈夫だよな……)

 鍵を回すとガチャリといつもの音を出した。

 そしてドアが開き、グレースは中へと入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ