【教授はまだかな?】
学院の入り口の正面に建っている3号館は俺とカヲルの個室がある寮だ。
その後ろに位置する4号館の5F特別フロアに俺と仲間が所属する《探索》チーム・Bグループの個別室があった。
各個別室は防音仕様になっていて、扉は厚くとても頑丈にできている。
この部屋のIDカードがないともちろん中には入れない仕組みだ。
つまり、内密の話や重要な話をするにはうってつけな所だといえる。
「教授はまだかな?」
グレースは聞いた。
教授に昨日告げられた通り、朝の9時にBグループのメンバー6人と《研究》チームのアパレルはみんな入室していた。
「見かけてないわ」
ワイズは答える。
「今9時5分過ぎているけど、もう少し待ってみるか」
ピッピッ
と、グレースの腕につけてあるスキャナーが呼び出しの音を鳴らした。
「通信か。はいグレース」
『私だ。みんなは集まっているか?』
通信機の先からコロア教授の少し焦ったような声が響いた。
いつも冷静な教授が珍しい。
どうしたのだろうか。
みな黙って次の言葉を待っていた。
『すまん、今朝、教授全員に学院の管理より緊急招集がかかった。今は少し時間ができたのだが、どうも成り行きが思わしくない。話し合いはまたの機会にしよう。今日の所は講義も休止せざるを得ないようだ。他の教授たちも今生徒に連絡している』
「なんかあったんですか?」
慌てたコロアの様子にグレースは尋ねる。
『呼び出されずっと待っているのだが、詳しくはまだだ。君たちも寮に戻って待機か、まぁ逆にみんなで集まっていた方がいいだろう。緊急事態のようで、これから軍部が護衛に来るらしい』
「軍が⁈」
一体何が起きているのだろう。
俺たちは非常な様子に不安を感じ、じっと息を飲んで静かに座っていた。
『詳しくはまだだが、何かこの学院に危険がせまっているのかもしれない。おそらく院内放送があるはずだ。みんなも気をつけてくれ』
「わかりました。」
プツッと通信は切れた。
「どうする?」
カヲルは聞いた。
「みんなでいた方がいいのか、部屋に戻るかだな」
「他の生徒は講堂から徐々に寮に戻っているんじゃない? 私たちも戻った方がいいかしら」
グレースとワイズも答える。
「ここにいると、外の様子がまるで分からないし、かといって外に出たら出たでみんなでの行き場所ないしね。1人で寮に待機は危険だと思う。この館のロビーか小さいけど学食行ってみる?」
とアプは提案した。
そうだなと俺は頷き、みんなもそうしようと、次の行動が決まった。
「とりあえず、食堂行ってみよう」
俺は個別室のドアを開ける。
この時間の生徒はほとんどか講義を受けていて、チームの本格的な活動時間は夕方か早くて午後からが多い。
今、この4号館に他の生徒は誰もいない。
7人は長い廊下を歩く。
食堂は4階だ。
階段まで向かったあと、1階分下に降りた。
少し廊下を歩くと『ウェルカム』と書かれた文字が電飾されて光っているのが見えた。
「こんにちはー」
俺はそう言って、食堂のドアを押す。
「あ、学生さん。いらっしゃい。珍しいねこの時間」
みんなの声かけに反応したのは中で昼食の準備中のコック、パフォールさんだ。
「チームの打ち合わせだったんだけどねぇ、ちょっと中止だって」
「そうなのかい? とりあえず何が食べていくかい?」
「あ、じゃあポテトかなんか軽く。あとコーアちょうだい」
俺はそう言って、IDカードを機械にかざす。
機械は光の点滅とともにピコーンという音を鳴らした。これで頼んだものはカードに記録される。
「ほいよー! コーアね。他のみんなはどうだい?」
「あ、じゃあ……」
と、みんな注文をして席に着いた。




