【その頃ユナとレミナは】
「レミナ……ちょっといいかな?」
僕はメートリーの森の先にある秘境村跡までレミナと偵察に行った後、次の偵察地に行く途中で不思議な場所を見つけた。
グリル村でリンと話をしたあの晩、すぐに潜伏先まで戻ったが、先に部屋で休んでいたレミナに声はかけず僕も少し床についた。
早朝に出発した僕たちは、ロットの北の方にある昔の大きな商業施設があった場所へと足を運んでいるところだったのだ。
「どうした?」
レミナは足を止め、僕に訪ねた。
比較的歩きやすい草原を移動中、ふと人工的な崖の壁のようなものが左方遠くに見えた。久しぶりにロットに来たのだから、ちょっと探検でもしようかなと、僕は好奇心を隠せないでいた。
「あそこ……何か気になるんだよね。すごーく」
そう言って、対象を指さした。
「気になる⁈ なら、行ってみよ!」
このところ偵察ばかりで、レミナも退屈だったのか嬉しそうな声で答えた。
僕はレミナと崖の近くまで行ってみる。
「……うーん。やっぱり自然にできた壁じゃないな」
僕は手を当てて確認する。
崩れないよう石で固め整備されたようなその壁は、高さは30メートルくらい。
木々もあまり生えておらず、かといって建物や遺跡とかでもなさそうだった。
壁と壁の間には人1人やっと通れるような隙間に道が続いているようにみえる。
「ここ……入ってみる? 狭いけど」
僕は苦笑いして聞いた。
「行こう! レミナは小さいからたぶん大丈夫だ‼︎」
そういってレミナは先に行ってしまう。
僕も怪しいと思いつつも冒険心に負け、彼女に続いた。
「大丈夫? レミナ」
5分ほど隙間を通り抜けると、やはり人工的に整えられたような芝生があり、少し広くなった空間に出た。
真ん中には石で作られた縦に細長い石版がひとつ……ある。
『この先、お客様以外お断り』
と、書いてあった。
「ぜったいアヤシイな!」
レミナは目をキラキラとさせて叫んだ。
正面には洞窟の入り口らしきもの。
近くまで来ると、入口の上の壁に何かで削って書いた文字があり『入って100メートル先にあります』と書かれていた。
「なんか、思い切り誘導されちゃってるなぁ……」
僕はそう言って、壁の文字通り100メートルほど洞窟を進んでみる。
奥までやってくると、石で頑丈にできた洞窟の壁にうまくレンガを積み重ねて作ってある古民家があった。
入り口の看板には『とーまの道具屋』と書かれている。
「とーま! とーま!」
レミナは叫ぶ。
「とーまって、誰だよ……」
怪しいにも程がある……と僕は笑って店のドアの呼び鈴を押した。




