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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第7章 ユナとレミナはどこに?
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【帰院!】

「おかえり。随分遅かったわね。もう今日中には帰ってこないかと思ってたわ」


 ワイズはそう言って、ロットの研究所から半日がかりで戻ってきた俺たちを学院の入口で迎い入れた。


 現在夜の8時30分

 ワイズもいつもならとっくに帰寮している時間であろう。彼女は《探索》チーム・Bグループの副リーダーである。


 艶のある漆黒の髪を横に2つ束ね、ツリ目で猫っぽい顔立ちの彼女にはゴシック系でフリルの付いた洋服がよく似合う。

 見た目に少しあどけなさを残しながら、大人びた口調で仲間を上から諭したような物言いをする…そんなクセにももう慣れっこだった。


 俺たちが研究所を後にして学院に戻ってきた時には辺りはすっかり暗くなっていた。


「ただいま。スキャナーで伝えた通りちょっと色々あって遅くなってしまってね」


 グレースは答えた。


 俺たちが研究所を出てロット側の第2管理所まで戻ってきた時、グレースはこの通信機で事のあらましを簡単にワイズに伝えた。

 もちろんアプとグレースの様子が一時険悪だったことは省いて。


「事情は把握してるわ。教授やカトレア、リリフちゃんにも一応伝えておいた。教授は今日はもう遅くなりそうだから明日の朝9時に個別室にと伝言。それと今回は前回の一件の貸しで、アプの《探索》チームの任務協力にあたり特別入室の許可を学院からもらったそうよ」


「アプもBグループの部屋に入れるの?」


 俺は尋ねた。


「そうみたい。教授随分頑張ったのねぇ」


「今回は私がみんなに協力してもらっている形だけど、そっちの要請ってことにしたのね」


 ワイズの言葉にアプはそう返した。


「とりあえず今日はもう帰ろう〜? めちゃ疲れたから休みたい~」


 とカヲル。


「私はこの『めもりー』を軍に渡してくるね。マラカナたちはまだ管理ビルにいると思うから。みんなはもう休んでね」


「あ、アプお疲れ! ありがと。無理しないでね!」


 そう言って、ビルに向かったアパレルの後ろから俺は声をかけて手を振った。


 後ろ姿がどんどん小さくなっていくのをじっと見ていた。







「リンってさぁ、ホントアプのこと好きよね」



「えっ⁈」



 ワイズの突然の発言に体が硬直する。


「分かりやすいよなぁ。アプはち〜っと難易度高いと思うけど、色々と実るといいね♡ リン君!」


 カヲルはヘラヘラと笑いながら、そう言って俺の肩をポンと叩いた。


「なにを勝手に……」


 俺は顔が激しく赤くなる。

 暗くてみんなからはよく見えないだろうが、もう赤面も赤面で耳まで赤い。


 そりゃあ最初に会った時から気になってはいたさ。


 カヲルと寮に帰ってきた時に待っている彼女を見た時も《探索》中も常に運命的なものを勝手に感じていた。





 好きなのかもしれない。





 でも、今はそんなどころじゃない……

 と止めに入る自分もいる。


(そもそも自分は遺伝子操作されてる兵器で父さんのクローンだし、恋なんてする権利あるのかな)



「ん? リンてアプのこと好きだったの?」


 一連のやり取りを傍観していたグレースはきょとんとした顔で言った。


「見れば分かるでしょうよ。あなたってホントそういうところ鈍いわよねぇ、はぁ」


「ワイズも苦労しますな……」


「何が言いたいの? カヲル君」


「いえ、別に。ま、春だからね。俺もリリフちゃんに会いたくなっちゃったなぁ。1日ぶりだし。後で電話しちゃお」


 そう言ってカヲルはるんるんと気持ち悪く寮の方へ戻っていった。



「あいつは何て分かりやすい」


 グレースはカヲルの後ろ姿にボソッとそう言った。俺とワイズはもうため息をつくしかなかった。


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