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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第6章 再びロットへ
42/219

【怖いよ! グレース】

 キュイーーーン

 ピッピッ


 ブーーーー‼︎


『ゲート10解除シマス。最深部、極秘セクション デス。ソルトウェルト 今日モ 調子ガ良サソウデスネ』



 何度も何度もセキュリティを解除し、やっと10個目のゲートまでやってきた。


「あぁ疲れた。気持ち的に」


「随分厳重なんだなー」


 俺とカヲルは慣れないコンピューターの世界に動揺した様子でそう言った。


「これからが本番よ。それにしても外と違って中はどこも壊れてないし思ったよりキレイだね。えーあいも動いてるし。グレース君ちょっとこの書類持っててもらっても?」


「あーいいよ」


 アプはそう言って、軍から託された書類をグレースに渡した。


「ここの先に重要な記録が保管されているメインシステムがあるみたい。とりあえず入りましょ」


 アプがセクション10と表記された扉の前に立つと、やはり自動にシャーッと音を立てて開いた。


 そこには、見たこともない不思議な機械がたくさん並んでいる。


 枠がついた四角いガラスの箱の前には人1人座れるくらいの椅子が置いてあり、横にあるボタンが何個もある長方形の箱の方にはたくさんのコードが繋がっていた。

 そんなものが何個も部屋の中にあり、人が使っていたであろう痕跡もある。



「箱だらけ」



「この箱がきっと重要なんだよ」


 俺とカヲルは相変わらず、一言二言しかコメントが出ない。見たこともないものばかりで、少々気後れしている。


「この真ん中のたぶんこれがメインコンピューターだと思うわ。ここには莫大な量の資料や記録が入っているはず」


「この箱たちに? じゃあこれを持って帰れば任務終了だね! アプ」


「まぁ、間違ってはないんだけど、これごと持って帰る必要はないんだな。これを差し込むと、その莫大なデータが中に入っちゃう! すごいでしょリン君」


 そう言ってアプが見せてくれたのは、小さな小さな消しゴムのようなものだった。


「え、この小さいのになんでこの箱が入るの? マジック?」


 アプはまぁ見ててーといって、箱のスイッチを押した。するとブーンと音を立てて、機械は動き出す。



 少し待った後、丸い何かをアプが手で動かして小さい消しゴムのようなものを箱に差し込んだ。


 俺たちはわけが分からず、とりあえず黙って見ていた。



「……よし、データコピー完了。後はこれを軍に渡せば良いはず。これはめもりーって言うらしいのよ」


 アプはそう言って、めもりーと呼ばれたものを横につけていた小さいバックに仕舞った。


「それでいいの?」


 俺は呆然と聞いた。


「うん。終了だよ」


「俺たち4人も必要あった?」


 カヲルも尋ねる。


「まぁリン君いなかったら、入るの大変だったけどね。コンピューターに入ってシステム変えなきゃいけないから、何日もかかる可能性あったと思う。けど、リン君で中入れちゃったから終わっちゃった」



「…………………」



 俺とカヲルは開いた口が塞がらず言葉にならなかったが、今度は今まであまり積極的じゃなかったグレースが沈黙を破ってきた。


「まあ、無駄足ではないよ。俺が来た目的はリンたちの安全の補助と、もう1つ別の目論みがあってね。ここなら軍や《研究》チームの目も届かないし、アプに色々と聞きたいことが山ほどあるんだよね。こっちは」


 グレースはそう言って、アプに真顔で詰め寄る。

 尋常じゃないグレースの雰囲気に先ほどまで笑顔だったアパレルの表情が一瞬止まり、徐々に曇り出した。


「ちょ、グレース」


 俺はグレースの肩に手を置いて止めに入ったが、強く振り切られる。

 グレースがとても怖い。


 アパレルは何も言わず黙っている。

 カヲルも静かだ。


「じゃあまず1つ。リンのことはいつからどこまで知ってる? まさか最初からじゃないよね?」


 グレースの声が重く響く。


「リン君のことは、昨日マラカナと……」


 アプはチラリと俺を見る。


「?」


「ギアスに聞きました。将軍のクローンで最初の兵器って」


「あぁギアスって元彼だっけ? この間リンが言ってたやつ」


 思わず、カヲルが口を挟む。


 アプは顔が赤くなって下を向いた。


「カヲルそこはどうでもいい」


「はいはい。ごめんグレース」


「聞かされてどう思った?」


「正直ショックだった。人の命を軽く扱うあの人たちに。あと半分は怖かった。リン君のこと……ごめんなさい。少し怖いって思ってしまった」


 そう話すアプの目には涙が出て来ていた。


「大丈夫だよ。それ普通の感覚だよ。俺だって自分のことなのに怖かったし、今でも怖いもん」


「リン君ごめ。でも今は大丈夫。君の顔見たら、全然やっぱり平気だったの」


 グレースは今のは嘘がないのが分かったすまない…とアプに謝った。


「もし、アプがリンのことを知ってて黙って利用してたんだったら許さなかったけど、じゃあなんで《探索》の時の森でレミナって子に会ったって言わなかった?」


「正直、あの時は混乱してて、最初はロットの生存者かと。でも村で意識を取り戻した時に気づいた。レミナのことは噂でなんとなく知ってました。彼女は第3兵器でユナっていう生徒が連れ去って行方不明だと…私はそのユナが消えたから《研究》チームに入れたんです」


 アプはまるで国に捕まって、尋問されているかのようだ。

 俺は見ていられなく、目をそらす。


「なるほど。あの時、《探索》のチームは実は《研究》チームの補助のために構成されたことは?」


「本当に知らなかった。私は何も聞かされてなくて、あの時も通信機でチームから言われるがまま《探索》の任務と並行して調査してました」


 アプは元気なく答える。


「もう、いいじゃん! グレース!」


 俺は叫んだ。


「あと1つ。アプの両親の仕事。それを今カヲルの親父さんが引き継いでる仕事。アプの今の研究と関係ある?」


「‼︎‼︎‼︎」


 アプは驚いた顔で、後ろに後ずさった。青ざめた表情から判断できる。


 グレースは当たりかと呟いた。

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