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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第6章 再びロットへ
41/219

【古い研究所に】

 廃墟と化した建物が一つ。

 ここはかつてストゥートが行なっていた生体実験の施設跡だ。

 ロットの東よりさらに東の森の奥にここはあった。


 半径50kmに街や建物は見当たらず、完全に孤立した奥地の奥といった感じだ。


 俺たちは古く朽ちた施設の入り口らしき場所を見つけ、少し離れた所にモーターバイクを停めた。


「ここに何が有るんだろうな」


 キーを抜いてバイクエンジンを落としカヲルはそう呟いた。


「何かあまり気持ちのいい場所じゃないね」


 俺はそう言って入り口まで歩き、大きな扉の前に立つ。



(ドキドキ)






(まだかな……)




(……………むぅ)



「開かないんだけど?」


「それって前に立てば開くものなの?」


「えっ、違うの? カヲル」



 カヲルは悩ましげに口元に手の甲を当てて考えた。


「う〜ん。あ! 分かった。扉に手ぇ置くんじゃない? それで反応するんだよ。きっと!」


「ああ! それだよ! よし‼︎」


 俺はじっと手を置く。


 開け、開けと念じた。




(……………)





「……ダメじゃん!」



「あれー? 絶対開くと思ったのになぁ」


「俺、ただの恥ずかしい人じゃんか」


「大丈夫。元々そんなにカッコよくない。というか女みたいな顔してる」


「うわー! それ傷つくーー‼︎ 」


 気にしてるのにー! と俺は口を尖らせて言った。


 バイクの辺りで書類に目を通していたグレースとアパレルだったが、俺とカヲルの一連のやり取りに呆れた顔でこちらへ来る。


「お前らコントか! 勝手にどんどん行かないように」


「扉の前に立っても開かないよ。このカードとリン君の目の虹彩認識で最初の入り口は解除できるはず。中に入ったらセクションごとにゲートがあってそこではリン君のDNA識別コードを読み取ると開く仕組みになってるってマラカナは言ってたわ。壊れてなければ」


 アプはそう言って、扉の横の機械にカードを通し、小さな枠の中にあるレンズに目をかざすよう促した。


「かーど? こうかな? えぃっ」


 ピッ



『認証キー認識シマシタ。モニターに目ヲ近ヅケテクダサイ』


「うわ! しゃべった! モ、モニタ? こうかな?」



 ピッ

 ピッピッ



『虹彩コード認識シマシタ。セキュリティヲ解除シマス。ソルトウェルト、オカエリナサイ。中ヘドウゾ』


 ガチャっと音がした後、大きな扉がガーッと音を立て横にひとりでに開いた。


「あ、開いたー」


「壊れてなかったね。1分でまた自動で閉まってロックかかるみたいだから、とりあえずみんな中に! 何があるか分からないから慎重に進みましょう」


 アプの言葉に従い、俺たち4人中へ恐る恐る入る。



『オカエリナサイ、ソルトウェルト。ライト ト 空調ノ管理ヲシマスカ?』



「あ、なんか言ってるー」


「管理システムのマナよ。ここもコンピューターで管理されているのね。ずっと使われていないはずなのに電源はどこで維持してるのかしら? リン君、電気と空調つけるよう命令して」


「わかった! マナ! 電気と空調お願い!」


『カシコマリマシタ』



 パッと電気がついた。

 エントランスが急に明るくなって視界が良くなる。ブーンという音も聞こえ出し、涼しい風を感じるようになった。


「すごい! マナは頭がいいねぇ!」


 俺は驚きの声をあげた。


「詳しくはよく分からないのだけど、これも昔の文明の技術らしいわ。えーあい? って軍からもらった資料に書いてある」


「へー、えーあい」


「すごいな、昔の文明」


 アプの話に俺とカヲルは感嘆の声を出した。


「とりあえずここまで順調だけど、この後は?」


 グレースはアプに尋ねる。


「そうね。用があるのはここのずっと奥。セキュリティゲートを10コほどくぐり抜けた先にある。行きましょう」


 4人はエントランスを進み、1つ目のゲートを目指して歩き出した。


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