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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
プロローグ
3/219

【リン編】

 思えばあの時、もっと彼の話をきちんと受け止めていればと後悔したのは、随分経ってからのことである。

 ユナはあれから二度とここへ戻らなかった。

 突然の失踪。

 消息不明。

 そんな噂が学院内を騒がせていた。

 けれども彼の行動の詳細は誰も知らされておらず、学院から出て行った理由すら分からないまま。


『ちょっと、これから出るところがあってね』


 そう告げたユナは、そういえばどこか少し寂しそうだったと、今頃になって気がついた。

 彼はとても優秀な生徒で、生徒からも教授からも一目置かれていた。

 そんなユナが、突然失踪するとは到底俺には信じられなかったのだ。


 俺にとってはユナは兄のような存在だったし、彼も俺を弟のように接してくれていた。

 それゆえ俺はとてもユナを慕っていたんだ。


 唯一彼の行動の理由を知っているとすれば、何かを命じた国か、軍関係者であるユナの叔父だろう。

 彼の叔父はこの国で権力を持った将軍の一人で、この学院の正式な管理官でもあった。

 しかし、ユナが失踪したことが発覚すると、彼はすぐに軍部へと戻ってしまった。

 今現在、ここの管理官は国の代表理事の一人が受け持っている。


『いつか僕との因縁も分かる日が来るだろう』


 あれはどういう意味だったんだろうか。

 今でも俺には解らない。

 もしユナがどこかで無事に生きていて、いつか会うことができたとしたら、俺はあの時の言葉の意味を、今度こそきちんと聞きたい。

 それまでこの話はしばらく置いておこうと思う。

 それももう、ニ年も前の話になるんだけど……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] プロローグ読ませてもらいました! カードキーでセキュリティを解除したり、エレベーターに乗ったりなどの移動の描写までしっかりと書かれており想像しやすい文章でした。 ユナが失踪してしまって驚…
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