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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第4章 そしてグリル村へ
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【お疲れさまだね】


「2人とも今日はお疲れ様」


 客室のベッドで横になってくつろいでいた俺とカヲルに、グレースは部屋に入ってくるなりそう言葉をかけた。


 現在夜の9時50分。


 ここは廃墟メートリーからバイクで30分ほど北東に進んだグリル村にある宿屋の2階だった。


 森を出てすぐにアプが気を失っていることに気づき、バイク1台で慌ててグリル村まで移動してきた。


 診療所に着いた頃にはもう夕方の5時近くになっていたが、ドクターはアプを見るなりこれはいかんとすぐに病室に案内してくれた。


 疲労と極度の脱水症状による体調不良かもしれないとドクターは話していて、意識も戻らず危険なためそのまま入院となった。


「森の中で何時間も走っていたようだと伺いましたが、今の季節はそこまで暑くないですし、ここまで疲弊し意識不明になることはあまりありません。夜の森は確かに空気が薄く酸欠による幻覚が見えたりもしますが、この辺の住人はあの森へは滅多に行きませんし、危険な植物や動物もいます。詳しくは検査してみないことには……」


 ドクターの言葉に俺たちは不安になりながらも治療をお願いした。


「とりあえず今日は遅いですしこのまま点滴で様子を見ます。明日以降になっても症状が改善しない場合はストゥートの大きな病院に転院されることをお勧めします。学生さんみたいなので学院の方に救急要請をした方が早いでしょう。連絡してみてください」


 ドクターの言葉に俺たちは頷き、診療所を後にした。


 アプは今でも病室のベッドの上で点滴を受けながら眠っている。


「いや、グレースたちこそ遠くからの移動お疲れ。今カヲルと一緒に部屋でだらだら休んでたとこ。リリフやワイズたちはもう寝たのかな」


 俺たちは2時間前に宿屋に到着したグレースたちと合流した。


 そのまま食事を取りながらアプのことを説明し、食後は各自部屋で自由行動をしていた。


「今日はけっこうヤバかったな。アプは《探索》チームではないし、現場での知識も少ないことを考慮して行動も注意してなきゃいけなかった。完全に油断した俺たちのミスだよ」


 カヲルはベットに横になりながら、そう呟いた。


「そのことなんだけど今回の件、探索結果も含めてさっき学院へ報告した。《探索》中に″お前たち3人″がメートリーでストゥート人ではない人間を目撃。慎重に追跡したが対象は慣れた様子で森の中を移動していき見失ってしまった。その際にアパレルが原因不明で倒れてしまっためグリル村にて治療中と伝えた」


 グレースはそう話し、なるほどそう報告したかと俺たちは黙って聞いていた。


「俺の報告を受けて、学院の方から今回の《探索》の停止命令が来た。チームを分け、慣れない人間と少人数で活動させたことでロットの生存者の救助に至らず、さらに学生に被害が出たと上は判断したようだ。たぶんメートリーの森の調査はもう国が引き継いで動いていると思う。と、まぁ結果往来だな」


「じゃあこのまま学院に帰還になるのか。でも今のアプの状態じゃこれ以上の《探索》は無理だしね」


 《探索》の中止は少し残念だが仕方がない。


「アプの件、学院に連絡せず勝手に俺たちが動いたことも含めバレなくて良かったな」


 カヲルも答えた。


「とりあえずアプはしばらく療養が必要だが助けられたし、誰もペナルティーなくて良かったよ。さっき聞いたんだけど、今回の任務は《研究》チームが調査するために《探索》チームが協力する構成になっていたそうだ。ま、つまり護衛だな。アプにどんな任務や課題があったのかは分からないけど、今回の《探索》場所の指定やチーム構成、人数配分はそのためのものだったらしい」


「な、てっきり《研究》チームのアプがこっちの補充メンバーだと思っていたけど、こっちが《研究》チームの助っ人ってことだったのか……どうりで一度行ったことのある所の再調査だったり、チームを分散させたり、なんか意味のない任務な気がしたわけだ」


 グレースの言葉にカヲルは驚いたようにそう言った。


「まぁそういうことだったらしい。今学院ではそれに関してちょっと揉めているようだよ。《探索》の顧問教授がエリートの《研究》チームにこちらのチームがいいように利用されたのではないかと訴えてるそうだ」


 グレースはそう言って、最後にしばらく上は揉めてるかもねと呟いた。


「そんな事情があったのかーまぁアプが見つかってホント良かったけど。あ、そうだ! 森を出た後カヲルの運転で俺がアプを前で抱える形で乗って1台で慌ててここまで来たから、バイク2台メートリーに置きっぱなんだよね。ヤバイかなぁ……」


 俺は忘れてたと、頭の後ろをボリっと掻いた。


「俺たちが着いた時、バイクが1台しかなかったからたぶん残りはメートリーだと思ってそのことも学院に報告しといたよ。後で回収してくれるそうだ。俺たちはアプが回復すればこのまま学院に帰還するだけだし、女子後ろに乗っけてゆっくり帰ればいいさ。実際にはあと3日間こっちに滞在予定だったわけだし、資金の支給も貰ってる。学院もしばらくはグリル村でゆっくりしとけとさ」


 俺たちはグレースからの報告を受け、どうなることかと思ったが一応無事に良い方向に行っているようなので安心をした。


 たった1日の《探索》ではあったが、

 かなり大変な1日だったと今頃になって実感していた。


 3人は会話を終了させた後、そのまま床についた。

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