【困ったことになった!】
「どうしたの? グレース」
神殿跡の調査を終え、次の目的地へ向かっている途中であった。
カヲルからの通信信号に気づいたグレースは一時バイクを停車し、ワイズたちと少し離れた所で通信していた。
会話が終わった後の焦った様子の彼にワイズは声をかけた。
「マズイことになった。アプが森で単独行動、行方不明。どうやら人を追ったらしい痕跡があってリンたちに追わせてる。俺たちも目的地変更でメートリーへ向かう」
グレースはみなに告げた。
「そんな、森に1人で……大変じゃない! 学院に救助要請しなくていいの⁈ グレース」
ワイズはグレースに詰め寄った。
リリフやカトレアも事の重大さに青ざめている。
「学院に報告したいけど、そうするとたぶん俺たちはリンたちと一緒に撤退命令が来てすぐに学院に戻ることになる。アプは間に合わないかもしれない。もし国の救助隊により無事に見つかったとしても、たぶん学院からペナルティーを受けるだろう。《探索》の助っ人もちろん《研究》チームで退会か、下手すると長期停学の可能性も……」
グレースはそう言って複雑な顔をした。
「分かるけど……でもそれでもしアプが死んじゃったら? リンたちだって二次被害が起きるかも……」
ワイズの言葉にそれはわかってるとグレースは言った。
「もし本当に人がいたなら、それはすごい大発見になる。今まででロットの生存者を見つけた学生はいない。今の状況で問題なのはアプの単独行動で行方が分からないこと。あの3人が合流できれば、アプが処罰されることもなく逆に評価される。これは賭けになっちゃうけど……もしリンたちにも何かあったら俺も停学か悪くて拘束かな」
グレースの言葉にワイズは少し考え、そして決意した。
「グレースはリンたちを信じるのね。分かった。そしたら私も覚悟を決める。とりあえず私たちも急いで向かいましょう」
リリフは頷いた。
「兄貴は強いし、あの3人ならきっと大丈夫!」
一同はメートリー方面へと発進させた。




