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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第3章 ロットにて
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【ひとり森で】


 外界から深く閉ざされたこの緑樹の連なりに、まるで吸い込まれるかのようにどんどんと奥の方へと突き進んでいく。


 仲間に何も告げず、単独でただひたすら対象を追いかけてきた。


(まだ見失ってはいない。あれは確かに人だった。しかもストュート人ではない。でもこんな筈じゃ……)


 アパレルは自分の行為を悔いたが今更後には引けない。


 人らしき者は慣れた様子でどんどんと奥へと進んで行く。


 対し自分は辛うじて人影のようなものが見える位置に追いつくだけでも精一杯だった。




 ……どのくらいの時間が経ったのだろう。




 1時間?2時間?それとも実はまだ数分なのか?時間の感覚が随分と曖昧だ。

 果てしなく続く森の中をただひたすら進んでいっている気がしてならない。段々と体に疲労を感じ始めていた。


 このまま行って良いのだろうか。


 どうしてリンたちに声をかけなかったのだろう。


 自分の好奇心が収まらず見失ってしまうことへの焦りか。


 単独で森へ入ると選択肢を取ってしまったことを今更ながら後悔している。


 太陽に雲がかかると辺りが一瞬にして暗い。こんな生い茂った森の中だ。太陽が遮られるだけで、いきなり目くらましにあったように視界を奪われる。


 そんなことが何度も何度もあった。



 と、目が一瞬。



 ほんの一瞬離れた。



 人影が……いない……



 しまった!



(見失った。どうする?このままじゃ……)

 

 追いかけるか?


 しかしこれ以上行くとメートリーに戻ることは確実に不可能になる。

 人間の匂いにつられて獣たちやモンスターもやってくるかもしれない。


(来た道を戻るか? これ以上の追跡は危険。連絡をするべき?)


 アパレルの左手に取り付けてあるチームの連絡用スキャナー。


 《研究》チームCグループのリーダー

か緊急用に学院へ繋がる唯一の手段。


(人影を探すか否か連絡をいれる? でも自分の単独行動がばれ《探索》チームはおろか《研究》チームを外されるかもしれない。もし研究室にいられなくなったら父さんと母さんの死んだ原因を探れなくなる。それだけは……)


 どうしたらいい?


 あぁ、どうして1人で来てしまったのだろうか……


(どうせチームから外されるなら、たとえ死んでも人を探したい。色々と聞きたい。うん。進もう……)


 もう走ったりはしない。


 とりあえずこのまま奥へと進み、何かにたどりつければ……


 両親の死の真相解明のためか。


 研究者としての信念か。


 ただの好奇心か。


 それとも現実逃避か。


 何かに取り憑かれているかのように進み進みそのまま延々と進み続け体力に限界がくるまで探し続けていた。


(体が思うように動かない……)


 意識が朦朧とした瞬間、アパレルはそのまま力なく膝から地面に倒れ込んでいた。

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