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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
首都レイドリックに
199/219

【えっ? なに?】

「レイドリックの父さんの家?」


 俺はヘリの中で横に座るマラカナ・リヴァルに尋ねた。


 彼女と会うのはすごく久しぶりである。

 斜め前のヘリの真ん中にある席には、怠そうに座っているユナと、彼に必死で語りかけるレミナの姿があった。


 こう見ていると、必死に親の気を引こうとしている子供のようで……とても微笑ましい光景だ。

 ユナはとても面倒くさそうだが……とても。



「そうです。おそらくあなたの遺伝子でロックは開くかと……どうかお願いします」


 マラカナはそう言って、にこやかに笑った。俺はこの作られたような笑顔に懐かしさを感じながら、思わず苦笑いする。


「と、とりあえず要件は分かった。困ってるのなら手伝うよ」


 俺はとりあえず頷いた。


「ふふ……あなたは素直で優しいですね。ユナやソルトウェルトとは大違いですわ」


 マラカナは再度ふふと笑った。

 随分と機嫌が良さそうである。

 何か良いことでもあったのだろうか?


 俺は少し疑問になりつつも、「えっ? あ、そお?」と間抜けな声を出して、後ろ頭を無意識に指で掻いた。



「はは、単純で使いやすい」


「な、ちょっと!」


 そう呟いたマラカナの言葉に思わず、突っ込みを入れる。

 これは絶対バカにしてる言い方だ。


 俺はむくれ顔をしてむぅと彼女から目を逸らした。

 そんな様子にも笑顔で横に座るマラカナが少し不気味である。


 しばしの間……



 そして

「将軍への未練も……あなたへ移行できたらいいのに」

 と、彼女はぼそりと呟いた。



 しかしヘリの中では大きな音が立て続けに響いている。


 はっきりいって、今の言葉は全く聞き取れない。


「えっ? 何?」


 俺は聞き返した。


「なんでもないです。気にしないでください。それより、これからのことよろしくお願いしますね。シーモアのことも含めて」


「オーケー! 任せて!」


 俺は元気よく答える。


「……単純。でも嫌いじゃないです」


 ぼそっと消えそうな声で呟いたマラカナに、俺は再び聞き返したが返事は返ってこなかった。



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