【タケル、悪いな】
不気味な小島の海辺、そこの砂場へと着地したヘリから、マラカナとともに外へ出た僕はとりあえず辺りを見回す。
そしてヘリから少し離れた海の中にタケルの船が見えた。
ヘリの音に気づいたのか中から人と小さなオレンジと黄色の球体が出てきて、こちらへ向かってきている。
僕は手を振りながら船のそばまで歩いていると、相手も振り返してきた。
「おーユナではないか、どうしてここに?」
「タケル、03002号! 無事だったんだね」
僕は変わりない様子の彼らに一先ず安堵して声をかけた。
「ははは、今、船の修理が終わった所だ。あと、この丸いロボくんはピピツーと言うらしいぞ」
タケルは隣に浮遊している球体を指差した。それに反応するようにピピツーと名付けられたロボットがピピッと音を立てて上下する。
『はい! リンに付けてもらいました! ピピツーと言います。よろしくです! ピピッ!』
「ピピツーね。やっと名前付けたのか……」
ピピツーの言葉に僕は頷き苦笑いした。
この1年……ピピツーであるロボはずっと今まで番号で呼ばれていたのだ。
「そちらのお2人は……?」
僕の後ろを歩いてきていたマラカナは口を開く。
「あ、仲間。タケルとピピツーは無事だったようだ」
「初めまして。マラカナ・リヴァルと申します」
僕の言葉に頷き、彼女はタケルとピピツーに挨拶し名乗った。
「初めまして、タケル・クロズワです。そういえば、ユナはなぜここまで来たのだ?」
「みんなを助けにだよ……」
不思議そうに顔を傾けるタケルに僕は苦笑いしながら告げた。
「おお、そうであったか。しかし、船は今しがた直った所なのだが……」
『リンとレミナが全然戻ってこないので、2人で頑張りましたよね! ピピッ!』
「えっそうなの? でもこれからリンとレミナをレイドリックに連れて行かないといけないんだ……」
僕はせっかく船が直ったのに申し訳ないと謝った。
「ふむ。なら私は船で先にシーモアに行って待っていることにしよう」
「あ……シーモアでは今ちょっと危険な事件が多発しているので、人は近づかない方が良いと思います」
タケルの言葉に後ろに立っていたマラカナは真顔でそう告げた。
「ふむ……それは中々穏やかではないな」
タケルは眉間にシワを寄せて複雑な顔をしている。
「できればピストシアに戻ることをお勧めします」
「そうすることとしよう……」
タケルはマラカナの言葉に頷いた後、船の元へ戻っていく。
「タケル大丈夫? 今度は気をつけてよ」
そんな彼の後ろから僕は声をかけたが、大丈夫だと告げて、船の方へと向かっていった。