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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
首都レイドリックに
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【あの人は……】

「溶ける?」


 僕はそう告げたマラカナに問い返した。


「そう聞いています。原因は不明です」


 マラカナは澄ました顔で頷く。


「なんか……ヤバそうだねぇ。なんとかした方がいいんじゃないの?」


「そうですね……おそらく人が溶けるという現象がどんな理由で起きているかは分からないですが、今回は兵器であるリンとレミナだけに行ってもらうしかないでしょう。第4兵器であるとーまも偶然・・にもシーモアに滞在していますし。ただ、その前に2人には寄ってほしい所があります」


「寄ってほしい所?」


 偶然……なんだろうか?

 彼女の言葉が少し引っ掛かったが、特にそこは言及せず、僕は聞き返した。


「ええ。まぁそんな大した場所ところではないですが……」


 マラカナはそう言って不敵な笑みを見せる。


「つまりどこさ。あと、僕も連れてこられた理由は?」


「リンとレミナ……そしてユナ、あなた方3人にはレイドリックに来ていただきます」


「は?」


 レイドリック?と聞こえた気がした。

 シーモアでもピストシア帝国でもない……まさかの、リヴァル家の本拠地である。


 僕の眉間にシワがよる。

 結局のところ……このまま拉致か?


「首都の隠された場所にソルトウェルトが遺した建物が見つかったのです。しかしロックがかかっていて開かない。おそらくリンかレミナが必要かと……考えています」


 そう言ったマラカナの顔はどこか寂しげに見えた。そして僕は彼女の話を聞いてあるコト(・・・・)を察する。



「……死んだのか」


「ええ……」


「……なんか企んでる?」


 僕は複雑な思いで尋ねた。


「どうしてそう思いますか?」


「あんたの今までの行動が全てそう思わせる」


「そろそろ……動こうとは思ってました」


 そう語る彼女の横顔はすごく寂しげだ。


「思ってた? そこに僕たちは利用されるのかな」


「ええ。大いに役立ってもらいますよ。というか、あなたにはソルトウェルトから引き継いだその知恵を貸していただきたい」


 それを聞いた僕は思わずため息が出る。

 まぁいつかはそんな日が来るだろうと、覚悟していたことだけれども。


「はぁマジか。叔父を生き返らそうとか……思ってないよね?」


 僕はそう言って横にいるマラカナの顔を見た。彼女は先ほどから正面を向いたままだ。


「リンは代わりにならないようです。クローンなのに似てない。顔はもちろん似てますが……不思議ですね」


「……知らないの?」


「何がですか?」


 軍用ヘリの中では相変わらず、ゴォォと不快な音が響いている。

 そんな場所でも僕らは語るのをやめない。


 一呼吸置いた後、再度僕は口を開いた。


「これはリンから聞いたんだけど…彼とレミナ、とーまには僕の父の遺伝子も入っているようだよ」


 それを聞いたマラカナの目が、一瞬開いたのが分かる。

 いつも心情の読めない表情の彼女だが、確実に今は動揺が見えた。


「初耳です。それはソルトウェルトから?」


 こちらに振り向き、いつもと同じ表情でマラカナは問うた。


「そ。そう言ってたよ」


「……あの人はいつもそうだわ。私には本音を言わない」



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