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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
首都レイドリックに
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【消える?】

 ゴォォと慣れない不快な騒音が耳を通し頭の中に響いてくる。

 僕はストゥートの国の軍用ヘリの座席に座り、隣に座っている女を見た。


 成人しているわりに幼い顔立ち、僕よりも20センチ以上は低いだろう身長に長い金髪を編み込んで後ろに束ねている女性。


 国を牛耳っている一族、リヴァル家の出身で軍人のトップ……マラカナ・リヴァルだ。


「……僕のこと(だま)したでしょう?」


 この騒音の中で僕は隣のマラカナに聞こえるくらいの声の大きさで言葉を放った。


「なんのことでしょうか?」


 マラカナはしれっとした顔で答える。

 もちろんこの反応は予想通りだが……


「シーモアと戦争になるからと言って、嘘ばかり。考えてみれば、前回リンが行方不明になった時だって、軍は大々的に世界中で動き回ってたじゃない」


 そう言って、僕はマラカナを睨みつけた。

 今はリンやレミナたちを危険で孤立した島から救うために、数人の軍人たちとヘリでシーモアの墓場島まで向かっているところだ。

 自分がこんな所に連れてこられる機会を作ってくれた彼女には心底辟易している。


 まぁ根本的な原因は僕と同居人のレミナと学院(コロア教授)の任務を受けたリンなのだけれども。


「人聞きが悪いですね。去年は、この星の命運もかかってたのです。それに……シーモアとはそれほど情勢も悪くなかったのですよね……今はちょっと……」


 隣に腰を下ろしているマラカナはそう言って、言葉を濁した。



「……キナ臭いの?」


 僕は少し考えた後、ぼそっと尋ねた。


「そうなんです。このところシーモアでは深刻な事件が多発しており、他の国とも敬遠になってきているようです」


 そう話す彼女の顔は硬い。

 どうやら思ったより深刻な事態になっているようだと……表情からは読み取れた。


「とーまの店の仕入れが滞っているのはそういう理由から?」


「そうですね」


 僕の質問にマラカナははっきりと肯定した。


 シーモア……僕がいた島の国ピストシア帝国の隣では一体何が起きているのだろうか……隣国とはいえ、過疎的な島にいてはそこまで情報は入ってこない。


 僕はよく調べもせずにレミナを向かわせたことに至極後悔をしていた。

 こんなことになるなら、コロア教授から連絡が来た時にもっと情報収集するなりすれば良かったと。



「深刻な事件っていうのは……」


 僕はしばらくの間の後に、横の席の彼女に再び声を掛けた。

 こちらを振り向いたマラカナは一度頷き、そして口を開く。


「実はシーモアの国では人が消える事件が多発しているのです。消えるというか……溶けると言った方がいいかもしれないですね」


「は?」


 彼女の口から聞かされた言葉に、僕は思わず聞き返していた。


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