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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
レミナと合流だ!
183/219

【理由? 理由は……】

「プライバシー! プライバシー! もう送っちゃダメだよピピツー!」


 俺はピピツーに強く訴えた。


『ピピ〜? ピッピッ♡!』


 ピピツーはスリスリと俺の肩にすり寄ってくる。機械らしくない媚びた行動だ。この辺もシステムに組み込まれているのだろうか……なんか可愛いぞと。


「ぬ〜! 可愛いくコビってもダメ! もう送らないでよ!」


 まぁそれとこれとは別で俺は送信を止めるように強く訴えた。


『しかし、いきなり通信が切れたら、ラヴァは驚いてこの星に降りてくるかもしれないです。ピピッ』


 ラヴァが降りてくる? それは少し勘弁願いたい。


「それは困るけど、できれば控えて。と、そういえばピピツーってバッテリーとかどうなってるの? ここ1年充電とかしてないよね?」


「確かに、不思議だな。なんか食べるのか?」


 俺とレミナは同時に首を傾げ、丸みを帯びた黄色いロボを見やる。

 見られたロボはピピピ……と電子音とともに目の部分を逆Uの字にした。機械なのでこの表現はオカシイかもしれないが、まぁつまり笑っているのだ。


『食事は不要です。というか、消化分解機能は実装していません。地下都市にいた時はメインタワーの地下にある原子力から、エネルギーを常に送られ通電されていました。今は基本ソーラーエネルギーです! ピピッ! 1時間の充電で3日はフルで保ちます! お天気が悪くても充電可能です。ピピピッ』


 ピピツーはそう言って、背中を向けてココに充電されます……と説明した。

 見せられた所には半透明で掌の半分くらいのフィルムが貼ってあり、キラキラと鏡のように反射して光っている。近くまで覗き込むと、フィルムの下には細かい1ミリくらいの部品達が無数に並んでいた。


「うわぁ〜スゴイ仕組みだね。それになにその高性能⁈ やばー! ってかすげー!」


 俺は興奮した様子で感嘆の声を出した。というよりも自分には詳しい専門的知識がないもので、なんかスゴイという感嘆の言葉しか出てこない。



「ラヴァや昔の技術ってのは凄かったんだな。今度月の機械の街に行ってみるか? リン」


 レミナには去年、確かにあの地下都市のことを伝えたがその時は興味もない様子だった。彼女の中で何やら気分が変わったのであろうか……


「い、いや……それはいいす……」


 とりあえず俺は断った。


「なんでだ⁈ 楽しそうじゃないか!」


 レミナはリンだけズルイ! と言って、顎に手を当て口を一文字にむすっとした顔をしている。


「ラヴァはレミナも欲しがってたから、2人して機械の街に捕まっちゃうよ……」


「遊びに行くだけだ。ラヴァがこちらの言うことを聞かないなら壊せばいい。それだけで済む」


 レミナは相も変わらず冷たく言い放つ。確かに彼女の鞭は速いし、博士の武器が触れれば機械はあっという間に壊れるだろう。それはたとえラヴァといえどタダでは済むまい。レミナのこういう所は合理的というか、攻撃的というか……同じクローンとはとても思えない、真似できない部分だ。


『えっーーそれはやめて下さいです! ピピッ! ラヴァ大事です…あの場所の人間たちも死んでしまうです! ピピッ』


 レミナの不穏な言動にピピツーは慌てて否定した。


「そうだよ、レミナ! 簡単に壊すとか言っちゃダメだよ! ピピツーの大事な……」


 俺もロボに同意して彼女をいさめる。


「じゃあ叩く」


 レミナはそう言って、ブンっと拳を振る素振りをした。まるでシャドウボクシングのように良い音がした。


「それもダメ! ラヴァってさ、レミナくらいの……子どもの姿してるんだよ。攻撃するのは可哀想な気持ちになっちゃう。もういいじゃん、月なんて……」


「それがその機械の手じゃないのか? しかし、楽しそうな所なのにリンが行きたくない理由はなんだ?」


 レミナはしかめた顔をした。こういう所は見た目相応に子供ぽいのである。



「理由はいっぱいあるけど……メシがマズイ」


「行く必要はないな」


 ボソッと呟いた俺の言葉に納得したレミナはきっぱり言い切っていた。


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