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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
リンとレミナと猫とロボ
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【そういえばヤバイね】

「さぁ行こう」


 俺はバイクに跨った。

 ここは学院の外にある駐輪場だ。

 駐輪場といってもバイクの台数はあまり置いていない。


『ピピッ! ワタシはどこに乗ればいいのですか? ピピッ!』


 ピピツーは相変わらず俺の後ろをふわふわと浮いている。


「そりゃあ、当然……」


 俺はここ、ここ! とバイクの座席を上げて中の空洞を指さした。このモーターバイクは旧文明時代に造られたモノで、今の時代の技術ではない。そしてこの機体にはカゴも荷台のような場所もなく、人間2人がやっと乗れるくらいのとてもシンプルな造りになっていた。


(前に3人乗りしたことあるけど、アプが細かったからできたことなぁ……)


 俺は去年カヲルとアプの3人でグリル村までバイク移動したことを思い出していた。


『ええええ! ココですか⁈ ピピッ! でも、や、分かりましたです! ピピッ! ガマンしますです‼︎ ピピッ!』


 ピピツーはそう言って自ら座席の下へ入り込む。そして俺はその姿に思わず吹き出した。なんせ彼の体と座席の下の空洞はまるであつえたかのようにピッタリだったのだ。


「うわっ! ピピツーすごい! もうこれバイクの一部と化してるよ! ヤバイよ!」


 俺は感嘆の声を出した。


『えっ! ホントですか⁈ ピピッ! それはとても嬉しいです! ピピッ!』


 彼は俺の言葉をそのまま受け取り、素直に喜んでいる。そして、バイクの機体と溶け込んだような状態で、こちらに目だけを向けてニコニコしていた。


「あ、その下に予備の燃料も入ってるから気をつけてね? もしピピツーが放電したり静電気起きたら、爆発するかもよ」


俺は苦笑いして注意喚起した。


『えっ、そうなったら……』


「ピピツーも俺の体も吹っ飛ぶかもね」


『ピピッ! リンの腕や足は勝手に再生するトカゲの尻尾だからいいですけど、ワタシは吹っ飛んだら再生不可なのでイヤですピピッ! 予備燃料は置いて行ってください! ピピッ!』


 ピピツーは慌てて、バイク内から飛び出してくる。そして俺の体に体当たりした。ちょっと怒っているようだ。


「トカゲ⁈ な、なんて失礼な! お、俺だって吹っ飛んだら痛いんだからね! ま、まぁ燃料は出していくかな。ピピツー死んだら……って機械に死ぬって表現はオカシイけど、壊れたらとーまと2人きりになるし、それは嫌すぎる」


 俺は燃料を取り出して、横に並んでいる別のバイクの中に仕舞った。まぁとーまの店に行って港に行くまでの距離だから、予備がなくても大丈夫であろうと。


『とーまのことより、ピピツーがいなくなることを嫌がってくださいです! ピピッ! というか、そんな状態でもとーまを迎えに行く意味が分からないです! ピピッ!』


 ピピツーは強く訴えた。

 最近のピピツーはなんだか人間みたいなことを言うようになったな……と俺は思ったが黙っていた。


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