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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
リンとレミナと猫とロボ
173/219

【オモ銃さん】

「ニャアニャア! ニャ、ニャアニャニャニャン!」


「うわっ、久しぶりに煩いなぁ……」


 カヲルが次の講義に行くため部屋を出て行った後、俺は久しぶりに装着したオモチャ見た目の光線銃の鳴き声に困らされていた。


「03……以下略がいた所では俺と引き離すと鳴いたらしいけど、何で今は俺が装着すると鳴き出すわけ?」


 俺は訳が分からない……と頭を抱える。



『そのオモ銃は「いつまでワタシを放置してたのだ! ひどいぞ、リン!」と言ってるですピピッ! 「あそこではリンに危険があったから離すな! と警告していただけだ!」と言ってるです! ピピ!』


「えっ、03……以下略、これの言葉分かるの⁈ っていうか、スイッチ押さなくて勝手に鳴き出すのはなんで……」


 俺は機械と銃に聞き返す。

 側から見ていると1人で無機物としゃべっている変な人の構図ができあがってそうだ。



「ニャア! ニャニャン!」


 オモ銃は今度は短く、鳴いた。

 コミュニケーションが取れていると、こんな武器でもなんだか可愛く思えてくるから不思議だ。


『以下略! ってなんですか! ピピッ! 「スイッチは押すと、ただくすぐったいからやめろ! って言ってるだけだ! ピストシアでは二回押されたから痺れて気絶していたのだ!」とオモ銃は申しているですピピッ!』


「うわ! 長っ! こんな短いセリフでそんな長い意味になる⁈ っていうか、すごいな! 03002号! お前を作った昔の人間は天才だね‼︎」


 03002号は分かりやすくオモ銃の言葉を通訳してくれたことに、俺は興奮して答えた。


 まさかこのオモ銃の言葉を解するとは……しかも銃の言っていることにも意味があったなんて、博士からこの光線銃をもらってから早1年……単純にただ煩い仕様なだけだと思っていたが、 もっと早いうちから彼の機能を借りれば良かったと少し後悔した。


『褒められて光栄ですピピッ! できれば名前は略さないでください! ピピッ!』


「だって03002号って長いんだもん。打つのも大変……」


 俺は出かける準備が終わったので、部屋の床にあぐらをかいて座った。

 ふぅと一息つく。


(そう、このやり取りの間に色々と俺も仕事をしていたのだ。えへん)


『えっ、何の話ですか? ピピッ? リンの任務は仕事とは言えないです! ただの『教授のお使い』です! ピピッ!』


「ちょっ! 設定無視して心の中読まないでくれる? って、これ……お使いなの⁈ もう! 03002号、お前はこれからは『ピピツー』だ! もう俺は決めたからね!」


『ピピッ! 名前『ピピツー』! ピピッ! 嬉しいピピッ‼︎ ピピピピピピッ……』


 03002号……改め、ピピツーは喜んで上下に浮遊していた。これで書く方も数字の打ち間違いリスクが減ってさぞかし安心だろう。


『しかし、ちょっと中2病くさい命名ですね。リンはもう17歳になったのに……ピピッ!』


 ピピツーはボソリと呟いた。


「ピピツーは本当に失礼だな! この学院には中学生なんてものはないんだぞ!」


 俺はせっかくピッタリな名前つけたのに、ケチをつけないでよねと伝えた。そういえば、このロボットは出会った時からなんか失礼なやつだったな……とふと思い出す。


「ニャアニャアニャアニャアニャア! ニャニャニャンニャン!」


 オモ銃は今度は長めに鳴いた。


『ピピッ! さっそくピピツー呼ばれた! リン、ワタシ嬉しいです! ピピッ! オモ銃は「ダサいけどアリだね!」と申しておりますよ!』


「ダサいってなんだ! 今度こそ、そんな短くないでしょーー‼︎‼︎」


 俺の叫びが部屋の中で反響しこだましていた。


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