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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
リンとレミナと猫とロボ
172/219

【部屋でカヲルと】

「おっ、リン。帰ってたのか」


 後ろを振り向くと、そこには同室のカヲルが立っていた。彼は講義の合間に珍しく部屋に戻ってきたみたいだ。


「お帰り、カヲル。俺は今日コロア教授に呼ばれたんだよ。さっき会った時に言わなかったっけ?」


 伝えていないかも……と思いつつも、俺は問い返した。


「って、なんだこのやり取り! めっちゃデジャブ!」


 俺は前作の使い回しに気づき、思わずツッコミを入れた。コピペした部分をちょっとだけ変えやがって……と、あまりにも理不尽な対応に呆れ返る。



『既視感ってやつでありますな! ピピッ』


 とーまの店まで出かける準備をしている俺の横で、03002号はふわふわと浮きながらどこにあるかも分からない口を開いた。



「あの時のページをまたやらされるのかと思ったよ……」


 午前中の講義から帰ってきたばかりのカヲルはやれやれ…と腕を組み、部屋で立たされた設定のままでため息をついた。


「ごめんね、カヲル! 冒頭からこんな扱いされて……」


 俺はとりあえず誰かの代わりに謝った。

 なぜ自分が謝るのか、少し納得がいかないが、そう書かれているので仕方あるまい。


「ま、別にいいけどね。リンは教授の頼み事でロットに出かけるのか? 今はモンスターもいないし、街もだいぶ復興してきたけど気をつけて行けよー?」


 カヲルは俺が久しぶりに取り出した光線銃をベルトに入れ装着しているところを傍目に見ながら、やたら説明口調で声をかけた。


「バイクで行くから大丈夫だよ。ちょっと『とーまの店』に行って、彼の入荷を手伝うんだ」


 俺は学院のカバンに色々と詰めながら、苦笑いして答える。


「あいつはモンスターより危険じゃないか?」


 カヲルは真剣な眼差しで告げた。

 俺は頷き、もし自分に何かあったらリリフとアプを頼むと珍しく真面目な顔で伝えた。


「おそらく、とーまが本気になったら、レミナと03002号と協力しても勝てるかどうか……」


 俺はそう言って、あからさまに不安な顔をカヲルに向けている。


『ピピッ! ワタシは戦闘用ではないので……人のお世話とお喋りしかできないです! ピピッ! とーまの測定値は恐ろしい数値です! ピピッ!』


 03002号は俺の言葉を慌てて訂正した。


 そう、彼はとても強い。


 本人は全く分かっていないが、第4兵器(変異した第2兵器の改良型)である彼は、わりと放置されていた初号兵器の俺や薬物投与実験を繰り返しされていた第3兵器のレミナよりも、驚異的な能力付与されているぽい……と。


 これは前作で何でも知っている裏主人公設定されていたユナ(今はレミナの保護者で19歳の苦悩が多いただの研究好きで島に隠居生活している青年……補足説明やたら長いな!)が言っていたことだ。


 しかもとーまの能力に関してははっきり言って、あのマラカナ・リヴァル(軍人、童顔、24歳、ちょっと偉い立場の嫌なやつ)ですら未知数だという。


 たとえ彼の見た目は人間に戻っていても、最初から俺たちとはまるで設定値が違うのだ。


 言うなれば俺は加速と驚異的な回復力を誇り、レミナは俺よりももっと速く動けるが回復力は劣り、状態変化の耐性は強い。

 人から見れば結構な能力かもしれないが、ここは数値に表すと分かりやすいだろう。


リン・グレイダー ♂

レベル10

HP:未知数

MP:かなり打たれ強い ちょっとMかも

強さ:銃の腕は中級


レミナ・グレイダー ♀

レベル99

HP:未知数

MP:空気読まないのでメンタル強い

強さ:鞭の腕は上級者級


トーマス・フィーバー(とーま)♂

レベルなし

HP:未知数

MP:超絶変人だからメンタル絶対強い

強さ:核兵器なみ


 こんなところだ。

 俺は分かりやすく紙に書いてカヲルに見せた。


「どこが数値なの? ってか、俺との最初の場面っていつも説明やチュートリアルばかりだよね」


 カヲルは少しふてくされた顔でそう呟いた。


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