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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
リンとレミナと猫とロボ
171/219

【学院のカバン】

『お話、終わりましたでしょうか? ピピッ!』


 部屋の外で待っていた03002号が話しかけてきた。彼はある場所から俺について来たロボットだ。見た目は球体で半分上が黄色、下半分がオレンジ色でふわふわと浮遊しているのが特徴的だ。そして機体には03002号と分かりやすく表記されている。


「うん、終わったよ。なんだか自分でもよく分からないうちに、旅に出ることになった」


 俺は説教ビルの廊下を歩きながら、03002号に答えた。


『ワタシもお供しますよ! ピピッ!』


 ロボである03002号は、俺のやや後ろでふわふわと並行して進んでいる。


「うん、よろしく頼むね。03002号はいてくれるだけで助かる。とーまと2人きりは勘弁だからね、ホント……」


 『とーまの道具屋』の店員であるとーまは、いわゆる女好きの変態だ。そして彼の格好はどこかのマスコットキャラクターのような着ぐるみを着用していた。


 俺と同じグループの仲間であるカトレアが作ったグレーの猫の被り物を彼は喜んで一年中被っている。モコモコした猫の体に似せたツナギの手には肉球、そして親切なことに臀部には尻尾までがきちんと表現されていた。


『ピピッ! よく分からないですが、必要としていただいてありがたいです。ピピッ!』


 03002号はそう言って、体を縦にヒュッと素早く上下する。

 これは彼が言葉にインパクトをつけるための表現の仕方なのだと、ここ1年を通して学んだのだ。


「さて、ちょっと俺の部屋に荷物を取りに行くよ。銃とか……まぁ色々と旅支度しないと。今回は学院の鞄を持っていくかな。あれ丈夫だし、なんでも入るし。」


 俺は独り言のように呟く。


『ピピッ! あのロゴのついたカッコいい紺色の鞄ですね! ピピッ!』


「そうそう! 本編の第1章の時の《探索》1回キリで全く使うタイミングがなかったからさ! 今回から大活躍させてあげようかと!」


 俺は03002号の言葉に相槌を打ち、やや興奮気味に答えた。



『ピピッ! それはいいですね! ピピッ! しかし、カバンの描写なんて第1章にありましたか? ピピッ!』


 03002号は率直に疑問をぶつけた。


「あ、その辺はあんまり気にしないで行こう! 作者も忘れてたやつだから! 突っ込んじゃいけない」


『了解しましたです。ピピッ!』 


 俺の無理やりな説明に、彼は機械らしくすんなりと事実として受け取ったようだ。とりあえず俺たちは幼なじみのカヲルと同じ部屋である3号館の寮へと目指した。


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