【仲間との語らい】
「そんなことが……でも、兄貴が無事に帰ってきて良かった」
リリフは赤い目を擦りながら、俺にお疲れ様……と言った。
「本当よ。心配したんだから」
そう言ったワイズも目が赤い。
口はキツいけど意外と情に厚いんだよね、彼女は。
みんなと感動の再会を果たした後、俺は今まで自分に起きたことを彼らに伝えていた。
ユナの家のリビングが人でいっぱいである。
もちろん、今は別の部屋で家族と過ごしているアプとキーン夫妻の3人は除いてだが。
「しかし地下都市でそんなことが……まさかリンが自分から戻ってくるとは思わなかったから、僕は色々と準備をしちゃったよ。マラカナに連絡しなきゃ……」
「ユナは結構頑張ってたな! 出不精のユナにしてはよく動いていた!」
ユナの言葉にレミナはそう言って、はははと笑った。2人も相変わらず元気そうだ。
ついでにタケルさんも一緒にはははと笑っていた。
(そこ、一緒に笑うところがいつもよく分かんない……まぁいいか)
ユナは俺がいない1週間、すごく頑張ってくれていたようだ。俺はお礼を言った。
「まぁ、でもそのおかげで、彼らはこの星から出て行く選択をして、俺とアプの両親を返してくれたわけで。ついでに監視役が付いてきたけど……」
俺は苦笑いして答えた。
10年前の事件を起こした黒幕はこの星から去り、結果的に人類の本当の意味での脅威は人類だったという話。
彼らはそれこそ、少し偏った見方をしていたけれど、必死に星を守ろうとしていた。そして機械らしい不器用さも持っていた。簡単に人を殺してしまうところとかね。
『監視役とは⁈ ピピッ! お守り役だと言ってください! ピピッ!』
今まで隠れて黙っていた03002号が飛び出して喋り出した。
「これは、ナニ⁈ 連れてきちゃったの? 博士の餌食じゃん。絶対」
ユナはビックリしてそう言った。
「あ、やべ」
俺は確かに……と頷く。
『ピピッ! それは身の危険を感じます! ピピッ!』
「か、可愛い!」
カトレアはたまらず抱きつく。
『ピピッ! これは! 幸せであります! ピピッ!』
カトレアの腕の中で03002号は嬉しそうに機械らしくないことを言っている。
「ぬぅ〜羨マシイノダ! カトレア、後で俺モ!」
そう言った彼は頭の被り物をいきなり取り、カトレアにすがっている。
「それは結構です」
そして彼女はキッパリ断った。
意外ととーまに強い。
「あ〜、そうだね、とーまは相変わらず……って誰⁈」
「あ、言うの忘れてたね。彼も解毒薬で戻ったんだよ。見た目だけだけどね。一応兵器の彼にも有効だった」
ユナは答えた。
「さすがにびっくりしたよな? でも、ユナの薬でとーまが戻って良かったよ。うん。でもなぜか、猫の着ぐるみはやめてないんだよな……とーまナゼ?」
グレースは苦笑いしてそう言って、とーまに聞いた。
「ソレはな、グレース! カトレアからの大事なプレゼントだからダヨォ! コレは暑くてもやめられネーコスプレだゼィ!」
「はぁ、聞かなきゃ良かった」
「ははははは!」
ため息をついたグレースととーまとのやり取りに俺は嬉しくなって笑ってしまったのだ。