【ただいま】
『では、私たちは数分後にこの星を脱出しますので、ご健闘を! good luck!』
テレポートで送ってくれた機械は消えていった。
「ここは……」
とーまの墓がある。
けど、もう名前は削られていた。
削ったのはユナだろうか。
それはそうか……彼は生きていたのだから。
「ピストシア帝国の霧に守られた島……の頂上ですね」
俺は呟いた。
ここには一度来たことがある。
一人で島の頂上に来て、ついつい夕方まで居眠りしてしまった場所だ。ユナが心配になって起こしに来たあの時がすごく懐かしい。
「なぜこんな所に……」
ドナルドとセシリアは不思議そうにしている。
「それはきっと、ここに俺とお2人の大事な人がいるからだと思います」
俺はにこやかに答えた。
そして彼らはハっとする。
「アーちゃんがここにいるのね⁈」
セシリアは驚いた顔で尋ねた。
「いますよ! こっちです!」
俺は手招きし、ユナの家まで3人で早足で向かう。
「アーちゃん……」
2人の眼差しはとても期待に満ちていた。
10年ぶりに娘に会えるのだ。
これは俺もとても嬉しい。
早く会わせてあげたい。
3人の喜ぶ顔が見たい。
そんな気持ちだった。
『ピピッ! みなさん、どこへ行くのですか? ピピッ!』
03002号もふわふわと浮遊しながら慌てて付いてくる。
そして俺たちは20分ほどで島の一軒家までやってきた。
不思議なことに……ここには、今日全員が揃っていたのだ。
ユナ、アプ、リリフに加えワイズとカトレア。俺を探すためにあちこち世界に出ていたレミナ、グレース、タケルも、とーまをここへ避難させるために、この家に戻ってきた所であったという。
そして昨日腕が戻ったというカヲル。
俺はみんなと感動の再会を果たした。
アパレルはそれこそ10年ぶりに両親と会うことができて、喜んでいた。俺は彼女が泣いたところを初めて見たが、自分までもらい泣きしそうになったぐらい切なく……そして嬉しかった。
「リン、色々とごめんな」
俺の幼なじみのカヲル。
「カヲル、なんで謝るの? それよりも体が無事戻って良かった! お前は俺の大事な幼なじみで、親友だろ!」
俺はカヲルと片手でハイタッチした。
リリフとも無事仲直りできたという。
『学院』に戻ったら、きっとまた2人で仲良く過ごすだろう。