【good lack!】
「えっ、どっち側って……」
俺は突然の彼の選択を迫る言葉に詰まる。
『ハッキリ言うとね。僕たちが見捨てるんだから、この星はたぶんいずれ滅ぶと思う。次はワンチャンないだろう。でも、君は死なないよね? ここならある程度僕たちとずっといられるよ? それこそ、未来永劫……宇宙が滅びるまで。もし、死にたくなったら、体は滅びないけど、心はお休みさせてあげることもできるかもしれない』
ラヴァは淡々と述べた。
まるで、これからのことを予言しているみたいだ。
だが、俺の心は当然決まっている。
「俺はここに残る。レミナもとーまもいるし、好きな人もいる。一生一緒にはいられなくても君たちの代わりにこの星で生きていく」
真顔でハッキリとそしてそこには一切の迷いもないことを伝えた。
『了解。明日、出してあげる。まぁ月から干渉することもできるけどさ』
ラヴァは機械らしくない少し寂しそう顔で話す。
「もうこの星のことは……開放して欲しい。滅ぶならそれはそれ……自分たちの責任」
それこそがお互いのためだと自分は判断したのだ。
『ふ〜ん。やっぱり君は人間なんだね。ははは……ボクとは合わないや。じゃあ、明日3人出したら、僕たちは逃げるからね。ロットの北側はたぶんなくなるだろうから来ちゃダメだよ? なんだっけ? ユナのいる島? に機械で下ろしてあげる』
「わかった。ありがとう。もう戻るよ」
俺は今度は徒歩で階段を降り始めた。
ラヴァはふわふわとついてくる。
『そうそう、月に行く時にリヴァル家? とか北の研究所潰しとこうか? 少しは星の寿命が伸びるかも……』
「やめて。そんなこと……もうしなくていいよ」
俺は階段を下りながら、静かに訴えた。
もう、悲劇は10年前の事件で沢山だ。
グレースやワイズ、カトレア……みんなの親は帰ってこない。
レイドリックの城を攻めても、バモールを潰しても同じ。そんな子どもや家族を無駄に増やすだけだ。
『学院』にいる残された子供たちは、今生きている。少なくなってしまった大人たちに守られながら、この汚れた国の中で必死に生きているのだ。
俺は……今、泣いているかもしれない。
目から生暖かいものがポツリ、ポツリと落ちている気がした。
『うーん。残念だ。ボクたちは、もうちょっと長くこの星に生きてて欲しかったな。君とも一緒に過ごしてみたかった』
ラヴァは階段を降りる俺の横をふわふわとついてくる。
「そんなの分からないから。とりあえず俺も努力するよ」
俺は彼? の顔を見ない。
もう前だけ見て……とにかく階段を下る。
『そっか、まぁ見届けるよ。これからの新しい世代に期待しよう。good luck!』
ラヴァはそう言って、最上階に戻って行った。