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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第19章 ラヴァ
158/219

【どっちに……】


「えっ、2日前? えっ?」


 俺は彼? の言葉に混乱している。


『ん? なーに? 聞きたいことある?』


「まっ、待って……あれから何日経ってるの? 次の日じゃないの?」


 日付の感覚がおかしい。


 4日後?

 2日前?

 一体何が起きている?


 ラマダンでのことは昨日のことじゃないのか?


 俺は何がなんだか分からない。


『んー? あれからってマーシャを始末して君を拉致した時間から? いや、もう135時間くらい経ってるよ?』


「135⁈ って何日だ⁇」


『人間に分かりやすく言うと5日と半日くらい』


「えっ……」


 ラヴァに事実を聞かされ、絶句する。


『ビックリしてるね〜』


 彼? はケラケラと笑った。


「ウソだろ……俺そんなに寝てたってこと⁈ 信じられない」


『あーうん。眠らせてたし』


 ラヴァはしれっと答える。


「眠らせてた?」


『君の体を調べてた』


「げっ……」


 俺は先ほどのロボットにスキャンされたことを思い出す。


『いやー不思議だよ。本当に不思議だ。遺伝子的にはさ、どっちかというとモンスターに近いんだけど……あ、これは薬で変えた子たちのことじゃないよ? 元々いたやつ。でもね君の姿は人間。心も人間。人間って本当怖いよね。簡単に禁忌を犯すんだから。あ、ごめんね、結構調べたよ。それこそ隅々まで……起きたら体痛かったでしょ? でもバラバラにはしてないからね?』


「ホント、プライバシーゼロかよ……」


 俺は聞かされた事実に項垂れた。

 本当に、ここは人の体を平気で好き勝手するのだから。


 しかし彼? らは機械だ。

 そこに感情がないことが救いだった。

 これが人間だったら、すごく気持ち悪い。


 だから生物兵器開発とかいって命を蔑ろにするあの国の研究者たちよりはまだマシだなと俺は心底思った。


『君の遺伝子網はプラナリアの変異体モンスターに近い』


「ナニソレ⁈」


『ふふふ。こちらの独り言だよ』


「あんまり聞かないようにしておく」


 俺は苦笑いした。


『知らない方がいいよ。さて、どうしようかなぁ。向こうには『マナ』を作った天才もいるからなぁ。うーん、そろそろ僕たちの存在を隠すのにも限界があるか』


「どうするの?」


 悩む素振りをしている、AIに俺は尋ねた。


『この都市を地上に出して人間に認めてもらうか、一時避難で天空に上げてしまう。それかもうこの星は見捨てて宇宙まで逃げちゃうかなぁ……』


「えっ、そんなことできるの?」


『できるよ。ここは一種の大きな船みたいなものだ。人間がここだけで生きれるような技術も備わってる。向こうの出方次第では月にでも逃げてしまおうかしら。敵意がヤバイものねぇ』


「すごいな」


 ラヴァはまたふわふわしながら、流れてくる大画面の映像を見ている。


『この場所もおそらく見つかっちゃったのかな。まぁ、認められた者しかここまでテレポートできないけどね。君ってそんなに大事にされてたんだね。これは……うん、ダメだな。襲ってくるな……やっぱ月に逃げるかぁ。もし街が襲われたら、ここの人間も死んじゃうから』


 彼? は多少面倒だが仕方ない……と呟いた。


「マラカナ達がここに来るってこと?」


 俺は上でふわふわしているラヴァ見上げ、そして尋ねた。


『そうなるね。明後日あたり』


「もし月に逃げるなら、キーン夫妻を出してあげて欲しい」


 どうやら彼? は逃げる計画を立てるつもりらしい。思ったていたよりは一応平和主義? で平和的解決を望むようだ。とりあえず俺は自分の要求を伝える。


『いいよ』


「アッサリだな!」


 俺はびっくりして思わず突っ込んだ。随分と軽い調子で自分たちの運命を決めるものだ。


『非常事態だもの。それくらい朝飯前さ。……よし、もう夫妻に出ても良いことを伝えるようロボに信号を送ったよ。この星を脱出する直前に出してあげよう。君のことはボク気に入ってるし希望ならわりと聞いてあげる。何日も隅々まで調べてれば、そりゃあ愛着湧くよね』


「ソウデスカ……随分人間くさい『えーあい』だこと」


 俺はため息をついた。

 ここの登場人物って、ため息つかせられてばかりな気がする。


『大昔に人間のために作られた人工知能だからかな。さて君は……どっちに付いてくるの? 人間側? 機械ボクら側?』


 彼? ラヴァはとても優しく聞いてきた。


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