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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第18章 旧巨大地下都市
151/219

【変わった名前】

「ほらほら、もう寄ってきたよ」


 部屋の外に出ると、開口1番ドナルドはそう言って指を指した。

 俺は指された方向を見る。

 ラマダンで見た機械とは違う丸い感じの機械が浮遊してこちらへ向かってきていた。


『リン・グレイダー、お目覚めですか。おめでとうございます』


 機械とは思えない、四角いヤツと違って随分流暢な言語を話す。

 しかし、おめでとうとはどう言うことだ? と俺は顔をしかめた。



『めでたく、この街で暮らす権利を得ました。一生ここで誤ちを犯さぬよう人類を見守りつつワタシたちと暮らしまショウ』


 そう言うと、丸い機械が何か信号を送ったのか、腕の拘束がパチンと外れた。それを回収してスーっと遠くへ消えていく。


 この部屋の外は廊下などではなく、丸く設計された広いロビーのようで、壁から天井から全てが不思議な材質でできていた。

 全体的にうっすらと透き通っていて、あちらこちらに電気の細い線のライトが光っている。まるでSFの未来小説にでてくる建物のようだ。


 俺はこの建物の技術に呆気にとられ、思わずぼーっと見ていた。


「あれは人の世話をするロボットだよ。もちろん過去の技術を駆使した超高性能な人工知能、AIである『ラヴァ』に全て管理されている。この建物もすごい技術だろう? 一体どういう構造なんだろうね。旧文明なのに、まるで未来の世界のようだ。これだけで過去の科学文明がいかに凄かったかがよく分かるよ」


 ドナルドの言葉に俺は強く同意した。

 正直、拉致られ……とかでなければ、凄く男子脳を刺激される楽しい場所である。


 そして彼の口から出たえーあいの名前……


『ラヴァ』


 この名前を俺はしっかりと記憶した。


「人間って、ここどのくらいいるんですか?」


 ドナルドに促され、食事する所、ここではフードスペースというらしいがそこを目指す。

 そして俺は歩きながら、ふと気になりドナルドに質問をした。


「うーん、どんな基準で選ばれているかは知らないが、僕の見た感じだとたぶん都市全体でも1000人もいないんじゃないかな? これはあくまで憶測だけれども」


「そうですか」


 こんなスゴイところに人間がいることも不思議だが、見回した限りでは人間よりもさっきの丸いロボットの数の方が多い気がした。


「ここからは僕の勘だけどね。もしかしたら古代からここに隠れて住んでいる旧人類の生き残りかもしれない。ほら、あそこにいる人……僕たちと見た目もだいふ違うだろう? 黒髪に黒目、シュッと細い目に小さい鼻。体もみんなわりと小柄なんだ。あまり自分の考えを表立って言わず、表情も硬くて、全員が機械のように黙々と働いている。昔の文献で確か『ジャパン』と言われていた人種だった気がする。名前もね『サトウ』『キムラ』『スズキ』とか呼ばれているんだよ。だいぶこの世界から見たら特徴的だよね」


 確かに……と俺は頷いた。


「俺の知り合いで『タケル・クロズワ』って人がいるんですけど、そういえば彼は少し似ているかもしれない。もちろんずっと体が大きい男だし、すごーーーく変わった人だけど」


 俺は笑いながらドナルドに告げた。

 幼なじみであるカヲルもそういえば変わった名である。


 彼は「ははは、その人はもしかしたら、ここの人間の血筋かもね」と呟いていた。


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