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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第18章 旧巨大地下都市
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【やっと見つけた】

 う、ここは?


 俺は寒気を感じながら目を覚ました。

 冷たくて硬い床の感覚。

 まだ目がぼやけているのか周りの状況がよく分からない。


 もぞもぞと体を動かしてみるが、中々うまく動かせない。

 体の節々に痛みを感じる。

 一体自分に何が起きているんだろうと不安になるが、ハッキリしない頭では考えようもなく、とりあえず体が機能するまでしばらく待った。



『大丈夫? 目が覚めた?』


 少し意識がしっかりしてきた頃、頭の上の方から声が聞こえた。


 はっと、自分は床に倒れていることに気づく。そして腕は……けっこうなグルグル巻きにされて縛られているのだ。


 俺は床に寝そべったまま声がした方に顔をあげた。そこには体育座りをした中年の男性がいた。


「ここは?」


 俺は倒れながら男性に尋ねる。


「ここ? ここは地下都市だよ」


 座っている彼は答えてくれた。

 彼は誰かに似ている気がするがうまく頭が働かない。


「地下都市……?」


 俺は彼にぼそっと口から言葉を出した。


「古い古い……かつて昔に栄えた旧文明時代。その名残さ。ここは機械の……そして機械に魅入られた人間の街だ」


 男性はそう言うと、ゆっくり立ち上がり俺に手を伸ばしてきた。


 俺は縛られたまま、彼の腕を掴みゆっくりと起き上がる。


「ありがとうございます」


 中年の男性は「いやいや……」と答えて、またさっきと同じ場所に腰を下ろした。


 俺は座りながらふと考えた。

 確か自分はラマダンの街で、恐ろしく強い機械に襲われて……そうだ、自分は負けたのだ。それできっと地下都市? 機械の街に連れてこられた。


「君の顔は見覚えがある。もうだいぶ昔、何十年も前のことだが、僕と一緒に仕事していたヤツによく似てるよ」


 彼はぼそっと語った。


「ヤツ?」


 俺はすぐに聞き返すした。


「ソルトウェルト・グレイダー。彼は若くして出世した。部署は違うものの、彼はかつての僕の上司だった。」


 自分のクローンの大元である父の名前だ。なるほど……と俺は納得する。


「君はリンだよね? 初めて成功した初号生物兵器」


 俺は自分のことを初対面の男性にサクサクと当てられる。

 だが、こちらも驚くことはない。

 なんとなく彼の正体を知っているからだ。


「あなたは?」


 俺はさらっと尋ねてみる。


「僕? 僕はドナルド。ドナルド・キーン。同じ捕らえられた者同志よろしく頼むよ」


 彼は答えた。

 俺は自分がこんな状況ながらついつい笑みが溢れる。


「やっと、やっと見つけた。アプのお父さん……」



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