【まずい……】
(犯人はえーあい? でも、そんなことある?)
俺は人がいない公園の所まで走ってきた。
そして慌てて通信機を取り出す。
ボタンを押そうとふと指が止まる。
でも誰に話そう……
教授?
ユナ?
マラカナ?
まだ分からない。
そんな『えーあい』が犯人だなんて……馬鹿げた話、まだ信じられない。
とりあえず、ユナの家にコールを鳴らす。
こういう時は彼が頼りだ。
『はい? リンだよね?』
「あ! ユナ! あのさ、カヲルは無事? 実は今ラマダンで機械が2人を……」
ブチ……
通信がいきなり切れた。
「えっ、ユナ? ウソだろ……」
(妨害された?)
嫌な気配。
見られている?
誰だ……
なんだ……?
『リン、気ヅイタ。ショウキョ、カイシ……』
機械の声。
目の前には四角い機械が空中に漂っている。
俺は身構えた。
しかし……速い。
銃に手を伸ばす暇もなく、俺の利腕が落ちていた。
「マジかよ‼︎ 痛いし!」
俺は腕を慌てて拾ったが、その間も光線銃のような光で攻撃される。
俺は超加速で避けながら、急いで腕を付けた。もちろん腕は一瞬で戻るが、超加速で対応しないと、機械の攻撃は避けきれない。
『リン、キヅイタ……兵器……シナナイ……危険因子……ショウキョ……不可能……バラバラニシテ……持チカエル』
「げっ! それはヤダ!」
俺は光線銃を向ける。
『モシクハ……トリヒキ』
「はっ?」
空中に浮いた箱の機械が喋りだす。
『キーン……トイウ、ニンゲン……会イタイカ? 来ルカ?』
「なっ……んで、そんなこと知ってるんだ!」
アプの両親の名前……俺は寒気がした。
『……通信……電波……当然ワカル。盗聴……シテイル』
盗聴……されていたのか。
もし、黒幕がえーあい……機械ならそれも可能かと俺は焦る。
「お前はえーあいのマナなのか⁈」
『違ウ。マナハ……壊サレタ。来ナキャ……コロス……コロス。ユナ……コロス。ハカセ……コロス。アプ……コロス……』
何もかも筒抜けなのか、俺の大事な人の名前や博士の名前まで唱えだす。
「何が目的なんだよ! マーシャとウィルを……なんで殺したんだ⁈」
俺は大きな声で叫んだ!
武が悪い相手にどう振る舞っていいのか分からず…かなり混乱していた。
『マーシャ、キーン夫妻カクホ……ノタメ利用シタ。シカシ……強化薬ヲ悪用……シカモ落トシタタメ、始末。ウィルハ……マーシャヲ殺ス所見ラレタカラ……始末シタ。コレハ人類……ハッテン……ノ阻止……ソレガコノ星ノ救イダ…』
そう機械が告げた瞬間、急に眩しい光に覆われ俺は体の衝撃とともに意識を失った。