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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第16章 再会…?
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【レミナ……ありがとう】

 俺とレミナはみんながいる海岸に向けアルパカたくしーに乗せてもらって走っている。


 港までの距離だと俺とレミナが本気で走ればアルパカよりもずっと速いだろう。


 だが、今はまだ夕方だ。

 多少人目もあるので超加速で走るわけにもいかず、アルパカたくしーを利用することにした。


「今タケルに連絡をした。海岸まで船で来てくれる」


 レミナは御者に聞こえないように小さい声でそう告げた。


「分かった。ありがとう」


 俺は頷いた。


「ユナとアプはカトレアが連絡してあらましを知ってるようだ」


「うん。まさかまた島に戻るとはね……」


 今朝、出てきたばかりでまたあの家に戻ることになるとは……と不思議な気持ちだ。

 洞窟でのこともまだグレース達には伝えられていないのだ。


「マーシャという人物も追いたいのだがな。おそらく絶対クロだろう。アプの両親のことも知っているはずだ」


 レミナはそう言って真剣な眼差しで港の方向を見ている。


「そうなんだよね。俺、ラマダン行こうか?」


 俺の言葉に彼女は振り向いた。


「単独行動する気か?」


「マーシャという人がラマダンに行くと言ったのが本当だったとしたら、ウィルって人の所に行ったと思うんだ。今逃したらまた手がかりが途切れるかもしれない……」


「なら私も行くぞ? タケルはユナの家を知っている。アイツに任せることも……」


 俺は慌てて首を横に振る。


「もしカヲルが間に合わなくてモンスター化したら、レミナがとりあえず彼を止めて欲しい。Bチームのみんなはたぶんカヲルに銃は撃てない。でも俺かレミナなら素手で止められる。あとはユナかアプの薬が……頼みだけど」


 ユナはまだ未完成と言っていたが、もしかしたら少しでも効くかもしれない。進行が遅れてくれるだけでも救いがある。


「それでいいのか?」


「マーシャやウィルという人がどんな危険人物か分からないし、カヲルは実際苦しんでいる。みんながいると逆に動きづらい」


「その気持ちは分かるが、危険だぞ」


 レミナは無謀だと述べた。

 1人でよく知らない国での単独行動。確かに不安だが、このチャンスを逃したくはなかった。


「みんなには洞窟のことを報告しておいてもらえる?」


 俺に折れる気はあらず、はっきり伝えた。

 そんな様子にレミナは諦めたのか、ため息をした後に頷いた。


「分かった。通信機……持っていけ」


 彼女から博士の細身の通信機を受け取る。そしてズボンのポケットにしまった。


「ありがとう。じゃあ、俺はここで降りるわ」


 御者に声をかけようとしたが、レミナに腕を掴まれる。


「みんなには会わないのか?」


「早く追いかけた方がいいでしょ?」


 レミナは分かったと手を離す。


「なら、アルパカたくしーで行け。もうすぐ港だ。おーい、たくしー運転手! ここで私を降ろしてくれ! そしてコイツをラマダンまで頼む!」


「おっ‼︎ そうかい? 止まれ、どうどう、よしよし。良い子だ。降りて大丈夫だよ!」


 レミナの大声に気づいた御者はアルパカに指示を出して一度走行を止めた。

 レミナはお礼を行って、たくしーを降りる。


「レミナ……ありがとう」


 彼女は手を振って、こちらを振り向きもせず海岸まで走って行った。


挿絵(By みてみん)


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