【なにが起きている?】
「……分かった」
レミナは通信を切った。
「リン、宿屋は取らない。これからユナの元へカヲルを送り届ける」
「どういうこと?」
俺はレミナの口調からただ事じゃない様子を感じていた。
「ここでは言えない」
「みんなは……」
レミナは首を横に振る。
「とりあえず、街の外に」
「……分かった」
急いで街の北に向けて走り出す。
大通りは日中来た時よりは人が少ないので通りやすい。
どんどんと街の門が見えてきた。
「カトレアから言われたのは……」
街の北口から外に出て少し離れた所まで来た。そしてレミナの言葉を俺は静かに聞いた。
港に着いた時にグレースが『Fortifier』と書かれた小瓶を見つけた。
そこには強化薬と書かれていた。
カヲルが道で突然しゃがんでいた。
ワイズが心配になり近寄るとカヲルの左腕がモンスターのように変異していた。
ワイズは悲鳴をあげて驚いたが、今は落ち着いている。
グレースはカヲルの腕をその場で慌てて隠したが、少し港の人に見られたかもしれない。
グレースはカヲルを担いで港を出ることを提案。今4人は海の海岸にいる。
当のカヲルは意識が朦朧としていて、今は完全に失っている。
少しずつ、変異している部位が広がってきている。
メラクニル村の人達のように時限式かもしれない(これは今初めて聞いた)が、このままでは完全にモンスター化してしまうかもしれない。
今の頼みの綱はユナとアプの作る特効薬(解毒薬)だと。
だから、彼の島に向かいたい。
俺とレミナに迎えにきて連れて行って欲しいと。
カヲルは一度船で女性とお茶をしている。
その女性はラマダンに向かうと言っていた。
その女性の名前は……マーシャであると。