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リンが紡ぐ〜ある国のある物語〜  作者: dia
第16章 再会…?
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【モモブモモブール】

「こんにちはー」


 俺は大きな門の外から声をかけた。

 ここはモモブモモブールの街の入り口でしっかりと閉じられたそれは開く気配がまるでない。


「応答ないな」


 そう呟いた横にいるレミナは、腕組みをしながら小さな体の彼女よりも一際大きい門を見上げて立っていた。


「もう一回、呼んでみる?」


 俺はレミナに尋ねる。


「んー、諦めてフェルテル戻るか?」


「まぁそれもありかもね。お腹すいたけど」


 そう踵を返そうとした途端、カタと内側から音がした。

 ギギと窓のような小さな覗き穴らしき扉が開く。


「子ども? 先程いた盗賊たちは……」


 小さな覗き穴からとくに特徴もない顔を出した中年の男性。こちらを見た彼は、俺たちに声をかけた。


「あ、こんにちは。盗賊は追っ払いました(レミナが)」


 俺は中年の男性に近づき、聞こえるくらいの声で答えた。

 それを聞いた男性は驚いた顔を向ける。


「本当ですか⁈ 君たちのような子供が……あ、失礼しました。私はこの街の自警団のトレモと申します。今門を開けますね」


 彼はそう言って内側に引っ込んだ。

 そして何らやガチャガチャと機械的な音を立てて操作している。


「今、外側に開くので少し下がっていてください」


「はーい。レミナ、こっちこっち」


 俺とレミナは下がる。

 そして門が開くのを静かに待った。


「やっと入れるね」


「全く、手こずらせてくれるな」


 俺とレミナはふぅと思わずため息だ。


 門が外側に開き切ったあと、街の中から先ほどの男性と一緒に数人出てくる。


「本当に盗賊がいなくなっている。いやはや……」


 俺たちの前に現れた途端、そう呟いた人物はわりと年配。白と黒が混じったグレーの髪にやはりグレーの髭の小柄な男性だった。


「盗賊を追っ払ってくださりありがとうごさいます。私はここの街の統治者モモブです。まぁ町長ですな。どうぞ、街へお入りください。もし何かご所望があればできる範囲でお応えしますよ」


 町長、モモブと名乗った彼は俺たちを街へ入るよう促した。


「モモブさん、もしかしてこの街を作った方ですか? あの、モモさんもいるんですか?」


 俺たちはモモブの誘いに従い、街の中へ入る。そして歩きながら彼に疑問をぶつけた。


「かの昔にこの街を作ったモモブとモモの子孫でございます。うちの一族は彼らの名をラストネームにしてますね。モモを受け継いでいる一族もいますよ」


「ほうほう。街と同じ名前の人がいっぱいいるのだな」


 レミナも俺の後ろを歩きながら、言葉をかけた。


「はい。そうですね。いますね、いっぱい。私の妻の旧姓はピンクィ・モモでした」


「ピンクのモモ?」


 俺は思わず町長の言葉を聞き返した。


「ええ。ピンクィ・モモです。私のファーストネームはブルー。ブルー・モモブ」


「ブルー……あの、ここの街の名産は……」


「うちは桃の生産量が世界一ですので、桃好きの先代が大々的に栽培するために作った街がこの街なのです。お礼に桃も差し上げますよ。なんせこの街はモモブモモブール。桃が大好き過ぎて作ってしまった街なのですから」


「ぶっ、そんな理由で街を⁇ ってか、やっぱり俺が最初に思っとおりだった⁈」


「はははは。リン、意外と勘が良かったんだなぁ! ははは」


 街の入口で高々に笑うレミナの声が響いた。


 桃の生産量が世界一の街モモブモモブール。

 この街に俺たちはやっと着いたのであった。


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