【嫌な予感】
こんな所に本当にアプの両親がいるのだろうか……
ここはフェルテルの街を出てから少し行った所の洞窟の中だ。
とーまの誘導に従い俺たちは彼の持つライト頼りに狭い暗闇の中を突き進んでいた。
「おい、とーま! 本当にここなのか?」
レミナは尋ねる。
「おぅ。店に電話がカカッテ来たんダヨ。いつもの洞窟に来テッテ。セシリ? から」
とーまはそう言って上機嫌に歩いている。
俺とレミナは他に当てもないため、ただひたすらとーまの後ろをついていくだけだ。
しばらくして分岐点に差し掛かり、そこを右に曲がった後、さらに10分ほど歩いた。
そして道の先に広い空洞が見えた。
空洞には人が住んでいるような室内のようなものが目に入る。
洞窟に入ってからずっと耳障りな音がしていた。気になっていたが、暗い洞窟の中では音も反響していて不快な元の方向も場所も分からない。
シューと音が……
……
「とーま、なんかヤバイぞ……」
レミナは呟く。
勘の鋭い彼女の言葉とこの環境に俺は嫌な予感がしてならない。
「オカシイな? 誰もイナイ」
とーまは首を傾ける。
そう言って空洞の部屋のある奥の方まで向かって行った。
俺の後方に何かの……嫌な気配。
慌てて後ろを振り向く。
何か……チカっと熱い光のようなものが反射した。
「つっ‼︎ レミナ‼︎」
俺は咄嗟に前にいた彼女を後ろから庇った瞬間、爆音とともに視界が真っ白になった。